Resonance Lab. レポート

ココカラ

変革するスポーツビジネス Vol.1

スポーツと商業を融合させた『いわきFC パーク』のフラットな場所づくり

伏見 百代

 ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピック、ワールドマスターズゲームズの連続開催が始まり、いま日本は『ゴールデン・スポーツイヤーズ』を迎えている。政策的なスポーツ成長戦略にも後押しされ、これまでの教育的・部活的な精神が美徳とされるイメージの強かったスポーツに、「ビジネス」として産業化される大きな変革期が訪れている。モノからコトへ消費の価値がシフトするなか、その瞬間の“ナマの体験や感動”を与えるスポーツが持つ力は、集客に悩む商業施設にとって魅力的で、新しいコンテンツとしての可能性を感じる。現在、様々な形でスポーツをミックスした開発が模索され、スポーツと商業、生活者の関係性は新たなステージへと進んでいくだろう。
 今回はその変化の兆しをいち早く掴み、さらには街づくりの一翼を担う『いわきFCパーク』に取材を行った。その魅力を分析し、今後のヒントを探っていきたい。

■施設概要

現在、東北社会人サッカーリーグ1部に所属する『いわきFC』のトレーニング施設。民間企業による商業施設併設の複合型クラブハウスとしては国内初の事例となる。

 

1.    いわきFCパーク
フィールドに繋がるクラブハウスと、フィールドを一望できる商業ゾーンを持つ複合施設。チームカラーの『KINGレッド』を使ったインパクトのある外観も印象的。

いわきFCパーク、商業施設併設の複合型クラブハウス

2.    ドームいわきベース
㈱ドームの物流センター。地域の雇用を生み出しており、若者が中心となって活気溢れる雰囲気。カフェテリアやレストスペースも充実。

ドームいわきベース、地域の雇用創出
いわきFCフィールド、人工芝フィールド

3.    いわきFCフィールド
13,000㎡の人工芝フィールド。サッカーコート1面、フットサルコート2面。スタンド席は400名収容。

いわきFCステーション、アスリートのための食事提供

4.    いわきFCステーション
アスリートのための食事提供や多目的スペースとしていわき市の支援を受けて整備。合宿の誘致や大会の開催、コミュニティースペースとしての貸し出しなども行う。
 

いわきFCパーク施設データ

【いわきFCパーク施設データ】
開業:2017年7月15日
敷地面積:29,643㎡
事業者:株式会社 ドーム
運営:株式会社 いわきスポーツクラブ
コンテンツ:9店舗(物販2店/飲食4店/サービス3店)
公式HP:http://iwakifcpark.com/

■誕生ストーリー

 ㈱ドームは、米国『アンダーアーマー』の日本総代理店や、スポーツサプリメント『DNS』の製造・販売などを行っている。
 もともと㈱ドームといわき市には直接の関係はなかったが、きっかけは2011年の東日本大震災からの復興だった。支援のためすぐに救援物資を乗せた車で被災地へ向かった。車の燃料が半分になった地点で物資提供を行おうと考えており、それがちょうどいわき市だったという。しかし義援金や寄付金などの援助では「真の意味での復興支援」とは言えないと考え、街に根付いた復興、つまり雇用を創り出し、街へ持続的に貢献できる復興を目指し、物流センター移転の計画を始めた。
 また、㈱ドーム代表取締役の安田氏と同級生である大倉氏は、スペインでスポーツマネージメントを学び湘南ベルマーレの社長として活躍していたが、日本のクラブ経営と海外との違いに疑問を抱き、安田氏との再会を機に㈱いわきスポーツクラブを設立。「スポーツを通じていわき市を東北一の都市にする」というミッションを掲げ、スポーツの産業化を目指した。
 ここで重要なのは、スポーツを試合成績や選手育成だけで考えるのではなく、持続的に利益を生み出す仕組みを自ら考え、作り出し、「ビジネス化」することだ。今、スポーツをビジネスコンテンツとして取り組む『いわきFCパーク』がモデルケースとして注目を集めている。

ドームといわきスポーツクラブの簡易年表

■『いわきFC パーク』から読み解く施設作りのポイント

『いわきFCパーク』は、プロチームならではの専門性とエンターテイメント性をバランス良く活かしている。昨今の健康ブームは、複合型から専門特化型の施設が増加傾向にある(TABLOID#2参照)ように、人々の興味、関心はより専門度を増している。プロ選手が信頼するトレーニングマシーン、グッズ、身体的メンテナンスは、健康を求める一般の人々へも強く響く。さらに、エンターテイメント性のある他のコンテンツと組み合わせることで“サッカーをやらない人”への敷居を低くしている。このようにスポーツと他のコンテンツが補完し合いながら融合するには、スポーツの持つ魅力とともにビジネス化する時の課題も正しく把握した上で活用し、チームと施設が長期的に育て合って相乗効果を生むことが要となる。そのポイントを『いわきFCパーク』の例とともに紹介する。

施設作りのポイント、専門的な要素
施設づくりのポイント、エンターテイメント要素

■未来へのチャレンジ

 開業から丸2年が経った『いわきFCパーク』だが、現在の年間来場者数は約30万人にのぼる。3年目に入り地元に根付いて受け入れられてきた。今年から新たに施設を時間貸しする事業もスタートし、次のステップへ進むタイミングだという。
 また、この湯本駅周辺の土地は温泉街であり、さらに街とのつながりを深めるため温泉組合の協力のもと、観光業へも貢献していく目標だという。
 強みを確実に捉え収益力を強化させていく、今後のさらなるチャレンジに注目だ。

イベント写真

▲ 昨年開催したイベントでは1 日に約5,000 人が訪れた。
( 写真はFacebook @iwakifcpark より)

未来構想プラン、ドリームパース

◀未来のドリームパース。今後の展望に関しては、スタジアムを中心とした街づくりについて、いわき市と協議しているということだ。

(パース:㈱いわきスポーツクラブ)

 

■まとめ

 豊かな自然に囲まれ、とても気持ちのいい場所だった。特に『いわきFC フィールド』は、直結のロッカールームからブリッジを渡ると、視界がぐるりと山に囲まれ、非日常的な光景が広がる。駅前の商店の方も「よくご飯を食べに行く」とのことで、まさにサッカー目的でなくても行きたくなる施設だった。
 次号では、さらにスポーツビジネスの可能性を読み解きながら、今後のスポーツコンテンツと商業施設との関係性について考えていきたい。

萌えちゃんねる Vol.010

夢中になるのもきっかけ次第

 運動嫌いの私であるが、体を動かすのが嫌いというわけではなく、スポーツ根性が苦手で運動を敬遠してきた。更には、引っ越しの多い幼少期だったからか「愛着のある地元」というものが無く、地元のチームを応援するなどの興味を持つきっかけが無かった。スポーツ施設とは一生無縁だと思っていたが、食という切り口は興味をそそり敷居をまたぐハードルも下がる。スポーツに興味がない!という気持ちも夢中になる機会がいままで無かっただけでコロッとかわるのかもしれない。

図はレゾナンス・ラボにて作成

特記なき写真はすべて筆者撮影による

"変革するスポーツビジネス"シリーズ

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