Resonance Lab. レポート

ポストコロナ考察

健康意識の加速と可視化欲求の高まり

伏見 百代

 本号も引き続き、ポストコロナについて想定できる変化の考察をしていく。3 回目のテーマは「健康のこれから」について。一時は落ち着いたかに見えた感染者数は再度増加傾向にあるが、経済活動も並行して続けていく必要があるとされるなかで、個人個人の意識で感染を防ぐ判断が重要となってくる。そのうえで求められる健康分野について考察していく。

■ 安心材料としての健康意識

 自身や相手が保菌者かもしれないという目に見えない不安が増すなか、「除菌の徹底」や「ウイルスを持ち込まない暮らしの工夫」に注目が集まっている。新しい生活様式の提言にある手指や身の回りの消毒は、ダイレクトに感染対策に直結する。今やあらゆる場所にいくつも設置されている消毒スプレーは、除菌効果だけでなく周囲への安心提示となることや、何かリセットされるような気持ちになるなど新たな習慣と化している。さらに感染しない心がけとして「免疫力を高める食事や基礎体力づくり」など根本的な生活の見直しも注目されており、誰もが『安心材料』を探し求めていると言えるだろう。

 

■ 身体内部情報の可視化・数値化

 安心の基準としてわかりやすく指標となるのはやはり可視化された数値だ。号外レポート『価値観の変化⑤』でもお伝えした通り、これからは身体内部の状態を把握し、データの可視化・数値化により「正しく自分を知る」ことが必要となる。これまでは年一回の健康診断でそれを知る人がほとんどであっただろう。しかし、会社で義務付けられている健康診断は、主に健康に配慮した就業可否や適正配置であるかが基準の検査項目で、今後求められる「身体内部の状態を知る」には不十分である。直近の体調だけでなく、個人のDNA に紐づく予測から導き出される「遅延アレルギー」や「数年後に発症する病気の未病対策」など、これからはより細やかな検査内容への欲求が高まっていく。

正しく自分を知る。未来の身体内部情報スキャン機能アイデア

 

 今後求められるものは、[図1]のように日ごと、月ごとといったこれまでより高い頻度で自身の身体内部の状態を可視化できるスキャン機能だ。ここで重要となるのは、誰もが負担のない状態で毎日の健康状態を把握できることだ。これらが習慣化し無理なく生活に浸透すれば、「見えない不安」からの解放につながっていく。自身の活動範囲の基準にもなり、数値に守られている安心感を生むだろう。

 

自身の安心・他者への礼儀として身体内部情報を可視化・数値化し
「正しく自分を知る」ことはこれからの共通言語ともなり、
個人のみならず施設や企業単位の安全基準としても
欠かせない要素となっていく。

 

 

 

■ 商業施設への取り入れ

 現在、検温や消毒などの対策のもと入館を行う商業施設が増えている。施設出入口など比較的通過頻度の高い場所に『デイリースキャンゲート[図1上段]』を設置すれば、施設側としても即時に情報をキャッチすることができる。施設利用者にとっては手間なく入館できるだけでなく、自身の身体内部情報も入手できる。双方にとって有効だ。さらに、施設内のエレベーターに高性能の『マンスリースキャンエレベーター[図1下段]』を組み込む。施設内の医療サービスやスポーツコンテンツとデータを共有し組み合わせることで新たな施設利用の動機となり、日常的な来場のきっかけとなる。外出が減り、様々なオンラインサービスの広がりが加速し商業施設を訪れる機会が減少している今、商業施設に出向く新たな目的として有効なコンテンツとなるはずだ。

 

身体内部情報の可視化による施設・利用者・企業における相互利点

■ ポイント制度の導入

 さらに[図3]のように『デイリースキャンゲート』や『マンスリースキャンエレベーター』の利用毎にポイントが加算されるポイント制度を組み込んでみる。その貯めたポイントは健康意識や基礎体力の向上につながるサービスに還元できることで、施設の利用頻度はさらに高まる。スキャン機能利用時に測定データと同時に必要な栄養素、施設内での販売店舗などのリコメンド機能を付加すれば個人に合わせカスタマイズされたサービスを同時に提供することができる。

 

ポイント制度アイデア

 

 また、企業と連携し福利厚生の一環として[図4]のように「健康管理に充てる時間休」へのポイント交換といった取り組みも有効だ。ポイント社会と言われるほどポイント制度はあらゆるサービスに不可欠となっている今、その還元方法も新サービスを選ぶ際にはかなり重視される。利用価値の高いポイント制度に紐づいた施設サービスが整えば、新たな施設利用の機会はさらに広がっていく。

 

ポイント交換サービスアイデア

■ ビッグデータビジネスへの参入

 日常的な健康チェックが生活レベルで浸透し、多数のユーザーに利用され蓄積されることでビッグデータとなる。医療機関と連携すれば有事の際の治療スピードや技術だけでなく、その前段階である予防医療の意識向上、そして保険制度にも変化が起こるだろう。美容分野、ヘルスケア関連企業へ販売するなど、ビッグデータビジネスへも転換できる。不特定多数の人が集まる商業施設にはこのデータをもとに新たなビジネスへの参入が可能だ。個人にとっても、各自のデバイスに蓄積データが増えるほどに自分の健康状態や体調の推移が把握でき、それらをさらに分析した予測精度を向上させることができれば未病・予防対策へも効果的だ。
 2019 年11 月号【変革するスポーツビジネス Vol.3】のレポートでは、「健康志向が高まり、たしなみ化(一般化)していく」とお伝えした。しかし状況が一変し、これからは健康「志向」よりもさらに人々の意識の根底にある健康「意識」にまで深度を増し、その広まりはさらに急速に加速していくはずだ。

 

データの蓄積によるビッグデータビジネス化
萌えちゃんねる©SEMNA

萌えちゃんねる Vol.017

便利さには勝てない

 自身の健康情報がビックデータとして集積されていくことに現時点では正直抵抗を感じる。スマートフォンが登場した当時にGPS で位置情報を取られることに感じた気持ち悪さに類似していると思うが、今では便利さが圧倒的に上回り、GPS にはほとんど抵抗が無い。健康情報においても近い未来抵抗なく自身のデータを提供する日が来るのだろうか。

ポストコロナ考察レポート

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