Resonance Lab. レポート 2020/08/24

 

新提案

「通勤」+「サービス」定期利用券の提案

 

 

 ポストコロナ考察の中で、6 月号では「移動」の変化を取り上げた。自粛要請解除後もリモートワークを並行して取り入れる企業は多く、働き方の選択肢が増えている。日本経済新聞の調査では、女子大生が就職や働き方において民間企業を重視する条件として「在宅勤務ができる」が2.6 倍に増加するなど、リモートワークは今後働き方を選択するうえで、求められる条件になっていくように感じる。
 本号では、元祖サブスクモデルともいえる「通勤定期券(以下、定期券)の新しい可能性」について考察したい。

 

 

 

通勤定期代の支給廃止か

 富士通(株)では7 月6 日、「従業員のうち、製造部門や客先常駐者を除く約8 万人はテレワーク勤務を基本とする」ため「2020 年7 月から通勤定期代の支給廃止」「2020 年7 月から月額5000 円の在宅勤務環境整備費用補助を支給」「単身赴任者を自宅勤務に切り替え」と発表した。企業にとっては、オフィス保有や定期代にかかる経費が軽減されるため、定期代の支給廃止を取り入れる企業は今後増えていくように思われる。
 レゾナンス・ラボのメンバーを例に見れば、リモートワーク中心のワークライフを送っており、改めて考えるとこの半年は定期券を支給されながらもほとんど利用する機会はないという現実もある。

 

 

定期券と消費の密接な関係

 定期券所有の有無による消費行動への影響は大きい。最寄りのターミナル駅施設を利用したいという理由から勤務先を選定する人もいるくらい「定期券と消費」は首都圏の消費に大きな影響を与えてきた。2017 年の当社主催のサクセスクラブスペシャルセミナーでゲスト登壇いただいた、jeki 駅消費研究センター加藤センター長(当時)の講演によると「首都圏における移動者のボリュームは約2,815 万人と推定。そのうち週一回以上鉄道を利用する人が1,690 万人(約60%)、生活者は定期券移動の範囲内でその消費活動の8割を行っていると考え調査研究活動をしている。」(※1)とあるように、たくさんの人々が駅ないし駅商業施設を利用している。肌感覚でも駅商業施設で消費することは、通勤を前提とした生活の中では日常的な行動であった。

 

※1:レゾラボレポート2017 年12 月号【サクセスクラブスペシャルセミナー】

移動する生活者にとって、駅商業施設の価値とは何か?より抜粋

 

 

『通勤+ サービス型定期券』の可能性

 定期券の新しい可能性として、『通勤+ サービス型定期券』を考えてみる。これまで利用していた定期券の内訳を「交通機関利用料」と「駅施設利用料」を組み合わせる形だ。(図1)のように月の交通機関利用が1/2 に減った場合、それ以外を「駅施設利用料」へ変換できる仕組みだ。

 

 

通勤+ サービス型定期券の可能性

 

 例えば、「駅施設利用料」をシェアオフィス利用に充てることもできる。リモートワークによって自宅以外の「静かな環境」「集中できる環境」を求めている人が多くなっている。リモート会議の際、家族や同居人の存在を気にしてベランダや洗面所、車中で会議に参加する人もいる。また取引先へ向かう最寄り駅やターミナル駅に「静かな環境」や「集中できる環境」が整っていれば、移動前後での利用も増えるだろう。
 7月30 日に銀座にオープンしたスターバックスとThink Lab による、はたらく人のための「夢中になれる」をコンセプトに新しいニーズをいち早く取り入れた新店舗(参考)のように、自宅や会社以外で仕事ができる場所は今後さらに増えていく。
 会社にとって、この「駅施設利用料」が「サテライトオフィス利用料」という位置づけとなれば、『通勤+ サービス型定期券』はこれまでの定期券機能だけでない新しい働き方をバックアップする心強い存在となる。

 

 

スターバックス コーヒー CIRCLES 銀座店

 

 

 

『エックスプレイス』との相性

 この『通勤+ サービス型定期券』で利用できるサテライトオフィスは、6 月号でお伝えした『エックスプレイスの広がり』にもマッチする。(図2)のように、「駅施設利用料」で利用できるサービスがターミナル駅、最寄り駅に設置された『エックスプレイス(多様な居場所)』と連動すると、新しいワークライフにおいて仕事の効率はさらに高まるだろう。
 田舎と都心部など場所を選ばず利用が広がり、6 月号でお伝えした多拠点生活も加速していく。

 

 

エックスプレイスとの連携

 

 

サービス型で広がる可能性

 例えば、前号の【健康意識の加速と可視化欲求の高まり】でもお伝えしたように、「施設利用料」が健康施設の利用にも充てられるように提携する。そうすれば、企業にとっても社員の健康増進としての福利厚生の要素が強くなる。
 単純な「通勤の定期代付与」という考え方から、「通勤と施設の利用」への変換によって、新しい働き方にフィットしたものとなるだろう。(図3)のように、15日出社/ 月、10 日出社/ 月など、個人差があってもそれぞれの働き方や生活スタイルの選択に合わせて施設関連サービスも柔軟に利用できる仕組みが望ましい。

 

 

通勤+ サービス型定期券の施設利用サービスへの拡張

 

 

元祖からニュータイプへ

 通勤定期券は、1 カ月乗り放題という元祖サブスクモデルといえる。この『通勤+ サービス型定期券』は生活者起点に立ったニュータイプのサブスクモデルだ。利用範囲を交通機関利用だけに留めず幅を広げたサービス利用に提携できれば、交通機関を利用しなくとも駅商業施設へ出向く新たなる目的が生まれる。通勤定期代の課税に対する考え方は難しい範疇ではある、しかしこの連携サービスは生活者にとって使い勝手がよい。次号ではこの『通勤+ サービス型定期券』の考え方を膨らませて考察する予定だ。

 

 

 

 

 

萌えちゃんねる©SEMNA

萌えちゃんねる Vol.018

気持ちの切り替えが難しい

 通勤定期券は会社帰りに寄り道ができるありがたいもの。仕事以外はほとんど外出しないインドア派だが会社帰りの寄り道は仕事とプライベートの気持ちの切り替えになるので結構好きだ。在宅勤務で仕事とプライベートの境目が混ざり合う中で、気持ちの切り替えスイッチをどこに見つけたらいいか、無駄にも思える通勤時間は意外と気分転換の役割もあったのだなと思う。

文章:丸山 朋子

 

 

ポストコロナ考察レポート

 

 

 

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