船場、ロフトワークと共に、大丸京都店 屋上広場の在り方をエシカルデザインで再定義
株式会社船場(本社:東京都港区、代表取締役社長:八嶋大輔、以下、船場)は、大丸京都店 屋上広場「ことほっとてらす」リニューアルプロジェクトに、企画提案より参画。株式会社ロフトワーク(本社:東京都渋谷区 代表取締役社長:諏訪 光洋、以下、ロフトワーク)と共同で、ワークショップや森林ツアーを実施し、地域に根差した交流拠点をエシカルデザインで創り上げました。屋上広場は、2023年9月29日にリニューアルオープンを予定しています。
1.屋上広場リニューアルプロジェクトの概要と背景
1974年以来、49年ぶりのレストランフロア改装に伴う屋上広場「ことほっとてらす」のリニューアル。かつては、遊具が置かれ、家族で賑わうスポットだった屋上広場ですが、時代の変化に伴う空間の活用という点で課題を抱えていました。そこで、共創プロジェクトを得意とするロフトワークに参画いただき、クライント・地域の異業種のクリエイターと共にワークショップを実施。屋上広場の在り方を検討するところからリニューアルプロジェクトを始めました。
ワークショップを通じて 「親から子へ、子から孫へと、日常の中にあるあたたかい記憶として語り継がれるような空間」「京都の京北町の森や工藝を次世代に繋げていく場」にしたいという想いが固まり、空間のリニューアルだけで終わらせず、今後、イベント等を通じて、地域・大丸が共に「ひと・森林・産業」が循環していく場の共創を目指すこととなりました。
2.エシカルデザインによる家具について
屋上広場の家具制作にあたって、京都府京北町の森林を訪れるツアーを実施。京北の森林では、杉材や、昨今の和室離れにより床の間の床柱として使用する木材が余剰していたほか、クマが爪や牙で樹皮を剥ぐことで廃棄処分となる「ベアーズウッド」の課題を抱えていました。デザインに合わせて木材を調達する従来の方法ではなく、実際に現地に足を運び、森林の持つ課題の解決に貢献する、エシカルデザインの手法で家具作りを実施。京北の様々な木材を使用し、木の多様な表情や、京都の自然を身近に感じられる家具を創り上げました。
1)ハニカムスツール
ワークショップでのアイディア 「バイオミミクリー」*から着想を得て、蜂の巣のハニカム構造や自然の造形美を取り入れたデザインとしました。側面には、製材時に出る端材や、床柱用だった木材、家具として製品化されにくい小径木など、様々な京北の木材を活用。椅子にしたり、繋げて大きなテーブルにしたりと、自由にレイアウトできる可変性のある形にしました。
*バイオミミクリー:生命や自然界の仕組みから学んだことを技術開発・デザインに活かすこと。
2) ゆれるベンチ
一緒に座った人と椅子の揺れを通じてコミュニケーションが生まれるベンチ。偶然居合わせた人同士の新たな出会いや交流が生まれる仕掛けを施しました。側面には、製材時に発生する床柱の端材を使用しています。
3)やぐら(可動式屋台)
解体しやすい単管と足場板を再利用して制作した、可動式屋台。イベント時にはブースとして、平常時は個室感のあるパブリックスペースとして活用できます。
4)アップサイクル樽テーブル
小川珈琲株式会社(本社:京都市右京区、代表取締役社長:小川秀明)で余っていた、珈琲豆の輸送に使用する樽をアップサイクルしたテーブル。一度開けると輸送用途としては再利用できず、使い捨てになってしまう樽を活用しました。天板には、再利用が難しい古紙と廃プラスチックから成るリサイクルボードを使用。
制作した家具は、京都の工藝や、家具の修繕をテーマとしたイベントの実施など、フレキシブルに活用できる広場とするため、自由にレイアウトできる持ち運びやすい造りになっています。また、長くみんなで使い続けていく家具となるよう、修理・メンテナンスのしやすさにも配慮して設計しました。
3.8Fレストランフロアの一角「まんがの壁」
屋上広場と共にリニューアルオープンする大丸京都店8Fレストランフロアにある「まんがの壁」のコーナー。ここでも京北の木材を多く活用したほか、ハニカム構造の展示スペースを壁面に設置する等、屋上広場と連動したデザインを施しました。床柱用だった木材をラッシングベルトで固めて留めたスツールや端材や「ベアーズウッド」を使ったベンチを配置しています。
船場は、Ethical Design Lab.によるコンサルティングサービスにも力を入れています。今後も、物事の本質、地域の課題を見極めた、未来にやさしい空間を提供していきます。