船場社員が興味惹かれる、様々なモノ・コト・ブンカを生み出す人々と出会う企画“SEMBA Connect !”
初回は、2020 年1 月22 日から3 日間開催された“SC ビジネスフェア” で船場と共にコラボレーションコンテンツをリリースしたPsychic VR Lab の渡邊氏とDiscont 氏、両社を引き合わせてくれたUnity 竹内氏にXR の世界を聞いてみました。
偶然から始まったプロジェクト
<Unity 竹内氏>
私は株式会社積木製作という、建築系を中心にVR やAR などバーチャルに関わるコンテンツを作っている制作会社に在籍していますが、様々な経緯がありユニティ・テクノロジーズ・ジャパンに出向し、エヴァンジェリストという役職で働いています。
あまり聞きなれないかもしれませんが、会社の技術を広くいろんな人に知ってもらう役割、日本語訳で言うと宣教者と言う立ち位置です。
私のタスクは建築とIT を合わせたものを、広くいろんな人に知ってもらう事です。ひょんな事から大倉さんより今後 BIM をVR などと融合させ力を入れて行くと言うお話があり、どの様に船場さんの事業に活かして行くか相談を受けていました。
Unity 開発事例 Created by 積木製作
■Unity Japan Office
プロモーション:https://www.youtube.com/watch?v=4rhdYkFoXmM
詳細ページ:http://aec.unity3d.jp/topics/765/
日本におけるデザインビジュアライゼーションの例として、Unity の最新技術を駆使したフォトリアリ スティックなデモを制作。舞台となるのは、日本の銀座にオフィスを構えるUnity Japan 。
■飲食店接客トレーニングVR
詳細ページ:http://tsumikiseisaku.com/result/matsuya.html
飲食店の接客トレーニングをVR 体験の中で身につけることができる。 “実践を体感して学べる” 研修ツールとしてリリースした。
<船場 大倉>
以前よりXR を内装設計施工のフィールドに持ってきて色々やって行きたいと考えていました。
なんでもゲーム化できるのがUnity というプラットフォーム。船場で使うとなると、今までパースや動画で見せていた空間のデザイン提案を、今後は自由に歩き回れる、ゲームの中にいるようなものとして見せることができたら面白いじゃないですか。
<Psychic VR Lab 渡邊氏>
Psychic VR Lab は、XR テクノロジーを活用し、全人類の超能力の覚醒させることを目的に集まった企業です。例えば、多くの人がスマートフォンをもつことで、紙の地図を見る能力がなくても、コンピューターの指示に従うだけで、手軽に目的地に辿り着けるようになりました。これは一つの例ですが、XR はこのようなPC やスマートフォンなどが与えたインパクトよりも、さらに人の意識の中に入り込み、新たな能力の拡張を行うことができるテクノロジーだと思っています。
ライフスタイルを大きく変容させる可能性を持ったXR ですが、その未来まで届くにはまだまだいくつかのステップがあると考えていて、まずは多くの人が当たり前にXR の空間を作成・配信でき、身に纏える世界。「身に纏う空間」文化を作るべく、現在事業を展開しています。そんな我々が、提供しているサービスがSTYLY というプラットフォームです。色んな人がVR やMR、そしてリアルな世界を自由に行き来することができる時代がもう来ると思っていて、そういう時代が来たときに大切なのは、誰でも簡単にそういう空間がつくれて、だれでも簡単に体験できることです。そこで我々はUnity を使いSTYLY というプラットフォームをつくりました。
現在、我々は渋谷という“街” にフォーカスしながら、さまざまな場所にXR アート展を開いてみたり、XR を活用した新たな音楽体験ができるものを開いてみたりしたなかで、リアルとバーチャルどちらからのアプローチも、新しい空間デザインとして今後確立されて行く必要があると感じています。
そこで、今回船場さんとのコラボレーションはバーチャルとリアルを相互作用させるコンテンツを作りあげました。
当社のDiscont はXR 空間クリエイターで、バーチャル側のコンテンツ製作を行っています。彼はもともと建築系の大学出身なんですね。彼の建築の知識とXR のスキルをうまく掛け合わせて、SC ビジネスフェアの時に一つのアウトプットとしてコンセプトを提示させて頂きました。
■ STYLY について
STYLY は、アーティストに空間表現の場を提供するVR/AR/MR クリエイティブプラットフォーム。
Web ブラウザのみでVR 空間制作が可能で、Mac やWindows に対応。VR 対応型PC 以外の普及型パソコンでも稼働します。また、MAYA, Blender などの3D ソフトはもちろん、Youtube、SoundCloud、Instagram といったサービスと連携しているので、複雑な操作なしに各種素材を取り込み、空間制作に活用が可能。
2020 年春には、VR 制作ツールとして現在提供中の「STYLY Studio」でAR 向けにコンテンツを制作・配信することが可能になる。
■渋谷PARCO XR SHOWCASE の情報
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000023281.html
■渋谷 PARCO XR SHOWCASE /「 World’ s end supernova」
Discont work
https://youtu.be/wZFZruPC5B0
<大倉>
その場所にいくからこそ体験出来ること。
ロケーションに紐づいた新しい体験価値ですよね。その場所に行って体験するのが一番いいように作られているんですが、万が一、足を運ぶことができなかったとしても、この記事を読んでくださっている方にもQR コードからコンテンツを見ることが出来るというのが、これまでになかった空間の体験なのかな、と思いますね。昨年、当社にBIM 推進室ができまして、BIM は設計施工を中心に使用するソフトなんですけど、そのデータをもっと違う形で活かしたいな、と思っていたタイミングで偶然竹内さんとお知り合いになるきっかけがあったんです。
そこで、丁度BIM 推進室としても広報からSC ビジネスフェアで何か面白いことはできないか?と雑談していて、竹内さんに相談したら、Psychic VR Lab さんと一緒に作って行くのがいいのでは?という事でご紹介いただき、リアルとバーチャルを体験出来る企画を一緒に取り組むことになりました。
今までになかったリアルとバーチャルが融合した空間づくり
<大倉>
コンテンツ制作は大変でした。ブースデザイン案も毎回変更になる中で、同時進行でバーチャルの世界も作り上げていきました。
コンテンツ制作中はヘッドセットをかぶる行為が受け入れてもらえないのでは?など不安に思うことも多かったですが、実際に当日オープンすると常時20 分待ちの大盛況で、並びすぎて、体験できなかったと言う方が多数いらっしゃったと、後日営業担当から聞くくらい、今までになかったおもしろい展示会ができました。
Discont さんはじめとする、XR クリエイターの皆さんの空間づくりの観点からも、未来の商体験という観点からも、新しかった。
例えばリアルでは手に取ると言う行為が、バーチャルになるとじっと見つめるなど、体験の行為が置き換わっていくことで今までにない新しい体験があって多くのことに気づかされました。これからの商体験はどんどん変わっていきますね。
Discont さんが大変だったのはどんな部分ですか?
<Discont 氏>
今様々なMR コンテンツが世の中にありますが、ある決まった場所、空間にMR で重ねることは多くあるんですが、同時進行で、ブースをつくりながらコンテンツを作っていくのはまだまだないので、そこが、ちゃんとできるのか不安ではありました。
なんだかんだ言っても現実的に、デバイスの性能もまだまだ追いついてない部分もあるんですね。ですから本当に自分たちが目指しているゴールに到達できるのか不安を抱えながら、トライアンドエラーを繰り返し、試行錯誤していくのが大変でした。
<渡邊氏>
我々は“チャレンジ” するクライアントワークは、一緒にすると決めているんです。今回も、船場さんが新しいことを挑戦するとの事でご一緒させていただきましたが、いざスタートしたら、初めて体験することが多くて・・・。リアルな空間が、最初にイメージしていたものと、最終的に着地したものが違いすぎて、調整しているのを横で見ながら、「頑張れ!」としか言えず・・・。(笑)
<大倉>
毎週違うブースデザインを出してしまい、ご迷惑をおかけしました(笑)ただ最終的には、来場してくださった方がVR 体験している姿をみて、体験している行為そのものが、今回の船場ブースをつくり上げていたことに気づき、ホッとしました。
<Discont 氏>
今回のコラボをきっかけにもっとチャレンジングな事を一緒にできるといいですね。
XR が創る未来の空間とリアル~妄想談義~
<大倉>
SC ビジネスフェアでやったことは、これからの空間のつくり方の一つだと思います。空間の中にコンテンツも入って来て、より面白い時代が来ると思います。体験した人にしかわからない、リアル空間に人を呼び込む一つの価値を作り出せたと思います。
<竹内氏>
今後はデバイスの価格も下がって行くと思いますし、個人的に使える日もすぐ来ると思います。STYLY を使えばどの国へも行ける、その空間にいける!と言うのがこれからの未来の空間の形ですね。
<Discont 氏>
大学に入学して間もないまだなんの知識もない頃合宿があったんです。その時に未来の建築の姿を考え発表する機会がありました。
動く建築や、かたちが変わる建築など・・・。僕のグループが発表したのが、浮く建築。温暖化による水面上昇がきても、浮いているので、地球の変化に適応できると思って考えました。
建築との関わりの原体験がそんな形でしたので、今のXR 技術を駆使し、空間自体がリアルライフに合わせて変容できるものが出てきてもいいと思っています。シンプルに柱だけある空間を、MR で様々な空間に演出できる。友達が来たら大きな空間を、家族と過ごすときは、小さい間仕切りを。人間に合わせて空間が変容していったら面白いと思います。
<渡邊氏>
僕は逆もあると思っていて、MR によってリアルの価値が再定義されることもあるのでは?と。例えば森に行った時に音楽や映像が見える体験が、当たり前になってきた時に、逆に森の本質的価値、“静かで、虫の音が聞こえる場所” という価値に、余計なものをかせねるべきではない、と感じると思う。場所本来の価値が再認識されることも出て来るんじゃないかな。
<Discont 氏>
MR があることで、リアルの価値が高まることも、下がることもある、それがどうなって行くか?これからもっと面白いことが起きる気がする。
例えば渋谷のスクランブル交差点のビルボード。あそこの広告価値ってとても高いですよね。今後みんながグラスをかけて、みることができるようになっていったら、全部広告がブロックされたり、別の広告で塗り替えられたりした時に、現物で存在している看板の価値は変わっていきますよね。
<渡邊氏>
ビルボードの枠の中に何か塗られていることには意味がなくなり、枠の中から何かが出てくるとか、違うことに変わって行くような、足し算にも、引き算にも、なって行く可能性があるのでその部分がどうなって行くか・・そういうのもワクワクするポイントですよね。
様々なモノ・コト・ブンカを生み出す人々と出会う企画
“SEMBA Connect !”
コラボレーションをきっかけに、始まった今回の取材。最後に未来の空間を妄想した談義はなかなか尽きず、今後もっとワクワクするコンテンツを彼らと一緒に作っていきたいと感じた時間でした。
SCビジネスフェア2020 SEMBAブースの実績詳細はこちら