2021.12.22

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デザインコラム「ファンタジー」

木のテーブルにワイングラスが置かれている写真

ファンタジー

空想。幻想。ファンタジア。

一般に幻想を意味するが,文学においては夢想的な物語全般に冠せられる名称。 (出典:世界大百科事典)

ファンタジーと聞いて、最初に思い浮かぶものは何でしょう? 魔法や妖精、空を飛ぶこと。 そのような“架空の世界”を思い浮かべることが多いですよね。 でも私は、実際に行くことのできる『現実空間としてのファンタジー』に興味があります。

私が現実空間にファンタジーを感じる要素は大きく分けて2種類あります。 1つ目は、『ビジュアルとしてのファンタジー“らしさ”』。 例えばディズニーランドの徹底した空間の作り込み。行くだけで誰もがファンタジーを感じることが出来ます。

 神奈川県相模原市にある雑貨店『海福雑貨』は、まるで異世界に迷い込んだかのような感覚を味わえます。取り扱われている商品も、クリエイターの作る一点ものや香水瓶、鉱石など、ファンタジー世界に出て来そうなモノたちでいっぱいです。所狭しと並べられている商品の間を通り抜け、心ときめく一品に出会えた瞬間は、自分だけの宝物を見つけたような気持ちになります。

雑貨店『海福雑貨』の店内風景
(写真:公式Twitterより)
雑貨店『海福雑貨』の店内風景

2つ目は、『非日常的な空気感が作り出すファンタジー』。

東京都高円寺にある『アール座読書館』は、一人で静かな時間を過ごすことを目的とした、私語厳禁のカフェ。店内を包み込む静寂が独特の雰囲気を作り出し、カフェ全体をより一層ファンタジックな空気に満ちた場所へと押し上げているように思えます。時の流れがゆったりと感じられる店内で、ついつい忘れがちなぼーっとすることの心地よさや、立ち止まることの重要性に気付かせてくれます。

『アール座読書館』の店内風景
(写真:筆者撮影)
『アール座読書館』の店内風景

目で見て楽しむファンタジーと、非日常的空気感を味わうファンタジー。 これらには何らかの“お約束”のもとに空間が成り立っているという共通点があります。 ここで言う“お約束”は、ルールや規則とは違って、利用する人たち自らがその世界を守るために、善意で守っていく優しい秩序を言います。ディズニーランドで会えるミッキーマウスはミッキーマウスそのものであり、中に人など存在しないのです。

現実世界にありながら、この世界とはちょっと違う不思議なところ。そんな“近くて遠い場所”を私はいつも探しています。夢と現実の境目が曖昧になるようなこうした空間たちは、ここしばらくとても困った毎日を生きている私たちにとって、ゆとりと希望を与えてくれる心の拠り所となるのではないでしょうか。優しい約束が成り立たせるファンタジーな空間を、私も作り出していきたいです。 

Author:平川真矢(EAST事業本部)

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