「ウェルビーイングなオフィス」という言葉を耳にしたことはありますか? 労働環境への配慮など、働く人がいかに気持ちよく仕事に取り組めるかが重視される中で聞かれるようになった言葉ですが、具体的なイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ウェルビーイングの意味や注目される背景、オフィスへの導入方法やメリット、実例などをご紹介します。
目次
1. ウェルビーイング(Well-being)とは
2. ウェルビーイングが注目される社会的背景
3. ウェルビーイングなオフィスを導入するメリット
4. ウェルビーイングなオフィスにする取り組み方法
5. ウェルビーイングなオフィスの事例
6. オフィスからウェルビーイングを実現しよう
1. ウェルビーイング(Well-being)とは3
ウェルビーイングとは、人が単に身体的に健康なだけではなく、精神的にも社会的にも満たされている状態のことです。その歴史は古く、1946年に設立された、世界保健機関(WHO)の「世界保健機関憲章 前文」が初出しだといわれています。
(参考:公益社団法人 日本WHO協会「世界保健機関(WHO)憲章とは」)
ウェルビーイングは「一人ひとりの主体的な自己実現」を理想とする概念であり、近年は従業員の生産性の向上や離職率の改善につながる考え方として注目されています。
なお、ウェルフェア」や「健康経営」もウェルビーイングと同様に注目されている考え方であり、それぞれ下記の意味合いがあります。
用語 | 概要 |
ウェルビーイング(Well-being) | 単に身体が健康なだけではなく、精神的にも社会的にも満たされている状態のこと。主体的な自己実現。 |
ウェルフェア (Welfare) | 主に社会的弱者を対象とする福祉や福利厚生、保護。受動的に与えられるサポートのニュアンスが強い。 |
健康経営 | 従業員の健康管理を経営戦略の一環として実行すること。経済産業省が推進する取り組み。 |
2. ウェルビーイングが注目される社会的背景
企業がウェルビーイングに注目する理由には、3つの社会的背景が挙げられます。
2.1. 労働人口の減少
日本では少子高齢化が進んでおり、将来的な労働人口の減少が予想されています。労働人口が減少するということは、働き手一人ひとりの役割が相対的に多くなるということでもあります。貴重な人材の流出を防ぎ、長く自社で活躍してもらうための取り組みとして、ウェルビーイングの向上が必要とされています。
2.2. 価値観の変化
SDGsやESGへの関心が高まり、働き方への価値観も変化したことで、現代の企業には、経済的指標だけでなく、心の豊かさや理念も重視した活動が期待されています。ウェルビーイングに取り組むことは、その期待に応え、企業としての社会的責任を果たすことにつながります。
2.3. 働き方改革の進展
働き方改革を推進していく観点からもウェルビーイングは大切です。コロナをきっかけに働く場所を自由に選択できるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)というワークスタイルが広がっていたり、家族や趣味などプライベートの時間と仕事の両方を充実させる働き方の重要性が高まってきています。一人ひとりの精神的・社会的健康まで考慮するウェルビーイングの思想は、多様な人材を受け入れる過程において重要な指針となります。
上記のような社会背景の変化に伴い、オフィスの在り方も変わってきています。働きやすいよう環境を整え、オフィスで社員のウェルビーイングの実現に貢献することが可能です。
3. ウェルビーイングなオフィスを導入するメリット
ウェルビーイングなオフィスとは、社員一人ひとりが安心して自分の力を発揮でき、心も身体も働きやすい職場を指します。悩みごとを相談しやすい交流スペースが設置されていたり、心身の疲れを軽減できるよう各所にグリーンが配置されていたりと、その形は様々です。
ここでは、ウェルビーイングなオフィスの導入によるメリットをご紹介します。
3.1. 人材の確保につながる
ウェルビーイングなオフィスの導入は、求職者から見た自社の魅力の向上に繋がります。「社員のことを考えてくれる企業だ」といったプラスのイメージを持たれやすく、その結果応募が集まりやすくなり、理想とする人物像に近い人材を雇用しやすくなります。
3.2. 従業員の生産性が向上する
ウェルビーイングなオフィスは、社員一人ひとりの力を引き出し、生産性の向上をもたらします。誰もが自分らしく働くことができる職場の実現を目指す中で、従業員のワークエンゲージメント(熱意や活力など、仕事に関する前向きな心理状態)の改善が期待できるためです。
3.3. 従業員の離職率が低下する
働きやすい職場環境の提供は、社員の離職率低下につながります。また、ウェルビーイングなオフィスでは交流の場を用意することが多く、社員の心身の不調を早期に発見しやすくなるのもメリットです。その結果、思い悩み離職を決断してしまう前に手を差し伸べられるようになります。
3.4. 企業価値が向上する
ウェルビーイングなオフィスの導入を進め、その取り組みを外部に公表すれば、先進的な企業として自社をアピールできます。人材雇用面はもちろん、消費者からの共感による固定ファンの獲得やESG投資をはじめとする資金調達の成功など、多くの恩恵をもたらします。
4. ウェルビーイングなオフィスにする取り組み方法
ウェルビーイングなオフィスを実現するための取り組みを4つご紹介します。
4.1. ABWの導入
従業員がパフォーマンスを発揮しやすい環境を整えるためにはABWが効果的です。ABWとは「アクティビティ・ベースド・ワーキング(Activity Based Working)」の略称で、作業内容に合わせて社員がその都度働く場所を選べる仕組み・働き方を指します。一人で集中したい時には小さな個室や背の高い敷居で囲われた席を選択できるなど、用途に応じた多様なスペースをオフィス内に設置することで、社員の働きやすさを高めることができます。
4.2. コミュニケーションスペースを作る
ウェルビーイングで考慮される精神的・社会的な健康の実現に役立つのが、コミュニケーションスペースの設置です。人間関係は職場の居心地の良さを左右する重要な要素。誰もが互いに言葉を交わしやすい開けたスペースがあれば、チーム内のコミュニケーションの円滑化はもちろん、他部署との交流による新たな事業の創出なども期待できます。
4.3. 社員がオフィスづくりに参加する
社員が出社したくなるオフィスを実現するためには、社内からできるだけ多くの意見を採り入れる必要があります。ワークショップやヒアリングを実施して、オフィスづくりに社員を巻き込んでいきましょう。その過程では「どのようなオフィスがいいか」ではなく「新しいオフィスで何が起きてほしいか」という質問をすると、回答を引き出しやすくなります。
4.4. 自然を感じられる要素を取り込む
観葉植物やフェイクグリーンなど、自然を感じられる要素をオフィスに取り入れることは、社員のウェルビーイングを高めるための代表的手法の一つです。オフィスにグリーンを設置すると、従業員のストレスの緩和、眼精疲労の軽減、コミュニケーションの活発化などの効果が得られるといわれています。
5. ウェルビーイングなオフィスの事例
最後に、ウェルビーイングなオフィスとはどのような姿か、実際に船場が行ったオフィス改修事例をご紹介します。
5.1. 関電不動産開発(株)のオフィス
関電不動産開発の首都圏事業本部のオフィスは、前述のABWの実現に向けて、オフィス内に多様なエリアを設置した事例です。作業に没頭できる集中ブースや、打ち合わせやイベントなどで多目的に使える「コラボエリア」、段丘状の座席を採用した「プレゼンエリア」、ランチや休憩に適した「リフレッシュエリア」など、様々なエリアを設けています。
また、ビルの最上階をオフィスとする長所を活かし、眺望に優れた席も配置。さらに、各所にグリーンを置くなど、社員が長く過ごしたくなる工夫を凝らしています。
5.2. 船場 九州支店
船場の九州支店でも、2023年12月に社員参加型のオフィス改修を行いました。改修にあたっては、ワークショップを多数開催しつつ、理想のオフィスのデザインを検討していきました。
ABWを採用し、執務エリアを縮小し、ミーティングや、社外との共創、展示会などのイベントに使えるフレキシブルなスペースを多く設置しました。スタンディングデスクの採用により何気ない立ち話が生まれるなど、ウェルビーイングに欠かせないコミュニケーションの充実にも成功しています。また、社員自らの手でオフィスリニューアルを行ったことで、オフィスへの愛着や働きがいも生まれています。
九州支店リニューアルについての詳細はこちらをご覧ください。
船場のオフィスの実績はこちら
6. オフィスからウェルビーイングを実現しよう
ウェルビーイングとは、身体だけの健康を越えた、社会的にも精神的にも満たされた状態を指します。社員の生産性向上や離職率の低下など、企業視点でも重視すべきメリットがあります。
船場では「未来にやさしい空間を」をミッションに空間づくりを続けています。貴社の考えるウェルビーイングとは何か、社員と共に実現したい未来とは何か、丁寧なヒアリングを行いながらオフィスの改修をサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。
船場のオフィスづくりの考え方についてはこちら