サステナブルオフィスの導入は、企業として社会的責任を果たすことにつながるだけでなく、生産性の向上などさまざまなメリットもあります。
この記事では、サステナブルオフィスとは何か、注目される背景や導入メリット、実現に向けた取り組み事例などをご紹介します。
目次
1. サステナブル・サステナビリティとは
2. サステナブルオフィスが注目される背景
3. サステナブルオフィスを導入するメリット
4. サステナブルオフィスの具体的な取り組み
5. 改装前の家具の再利用・アップサイクルを検討
6. サステナブルオフィスで持続可能なあり方を実現しよう
1. サステナブル・サステナビリティとは
サステナブル・サステナビリティとは、環境や社会、経済などのあらゆる場面において、持続可能な社会を目指すための用語です。元々は、地球温暖化や自然環境保護の文脈で用いられる言葉でしたが、近年は企業が果たすべき社会的責任と結び付けて語られることが増えています。資源の節約や再利用、環境負荷の低減、地域社会や労働者の権利に配慮する必要があります。
また、サステナブル・サステナビリティはSDGsやウェルビーイングといった言葉と混同されることもありますが、それぞれ以下の通り意味が異なります。
【サステナブル・サステナビリティと関連用語との違い】
用語 | 概要 |
サステナブル・サステナビリティ (Sustainable・Sustainability) | 「持続可能な○○」「持続可能性」。社会活動を長期的に持続させていくための取り組み。 |
SDGs (Sustainable Development Goals) | 「持続可能な開発目標」。サステナブルな世界を実現すべく、2030年までの達成を目指す国際目標。 |
ウェルビーイング | 身体的に健康なだけではなく、精神的にも社会的にも満たされている状態のこと。 |
2. サステナブルオフィスが注目される背景
サステナブル・サステナビリティは、オフィスづくりに必要な要素としても注目されています。
SDGsの達成目標である2030年が迫る中、近年は消費型社会からの脱却の必要性が叫ばれています。大量生産・大量廃棄を行い金銭的利益を追求する考えは見直され、、企業にも社会問題に取り組む姿勢が求められる時代。サステナブルオフィスの導入を進めることが、企業としての社会的責任を果たすことにつながります。
3. サステナブルオフィスを導入するメリット
では、サステナブルオフィスを導入するメリットを深掘りしていきます。
3.1. 社会貢献になる
サステナブルオフィスの導入はSDGsが掲げる目標に沿った行動であり、その取り組みは社会貢献の一環として評価されます。利益のみを目指すのではなく、環境や社会に配慮する企業として信頼性を高められます。
3.2. 従業員が社会貢献を実感できる
サステナブルオフィスを導入することで、企業だけでなく、従業員自身も社会貢献をしているという実感を得ることができます。
3.3. ブランディングにつながる
サステナブルオフィスの導入により外部からの信頼性を高めることは、自社のブランディングにも有効です。リピーターの獲得、融資の確保、株価の上昇、高度な人材からの関心など、多様な恩恵が期待できます。
3.4. 従業員の生産性が向上する
サステナブルオフィスの導入は、従業員の生産性を高める意味でも効果的です。長い時間を過ごすオフィスの質は社員のモチベーションを左右するもの。サステナビリティを意識した先進的なオフィスは環境問題だけでなく快適性も考慮されているケースが多く、仕事に対する従業員の意欲にプラスの変化をもたらします。
3.5. 長期的な目線でのビジネスコストの削減
サステナブルオフィスはビジネスコストの削減にも有効です。導入には初期費用が必要ですが、長期的な視点では光熱費を削減できたり、生産性の向上から売り上げが増加したり、人材雇用に関する広告費用を抑えられたりと、コスト面でのメリットを享受できます。
4. サステナブルオフィスの具体的な取り組み
では、サステナブルオフィスを実現するためにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。その一例をご紹介します。
4.1. ペーパーレス化・デジタル化
ペーパーレス化・デジタル化は、用紙代や印刷代だけでなく、プリンターのリース代やメンテナンス費、配送費や郵送費、廃棄費なども削減することができます。その結果、森林伐採による自然破壊の軽減にもつながります。加えて、パソコンやタブレット一つあればどこでも作業が進められるようにすることで、「ABW(固定席ではなく、取り組む業務に応じて社員がワークスペースを選べる仕組み)」の導入がスムーズになり、サステナブルオフィスの実現につながります。
4.2. 消費電力の削減
エネルギーの浪費防止は、サステナビリティの根幹となる視点です。サステナブルオフィスを実現するためには、照明のLED化や最新のエコな空調システム(ガスと電気の力を併用するハイブリッド空調など)の導入により、消費電力の削減を進めることが必要です。
4.3. サステナブルな商品の活用
オフィス家具に、サステナブルな商品を採用することも大切です。例えば、船場の「つながるつくえ connec®」では、本来は廃棄される工場の端材や未利用材を活用し、環境にやさしい家具を実現しています。このような持続可能性が考慮された商品の活用を検討しましょう。
>「つながるつくえ connec®」について詳しくはこちら
4.4. サステナブルな素材の活用
サステナブルオフィスに向けた改修では、使用する建材などにサステナブルな素材を活用していくことも重要です。
船場では、独自の基準により未来にやさしい素材を「エシカルマテリアル」と定義し、実用化を進めています。基準は約100社の建材・原材料メーカーから情報を収集しながら構築したもので、CO2削減のような一般的な視点のほか、人や社会、資源循環や経済の側面まで考慮した以下のような基準が設けられています。
・原料の再利用は行えているのか
・製品の長命を期待できるのか
・地域産業や伝統文化を引き継げているか
・経済的な負担も無理がない素材なのか
>エシカルマテリアルについてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
5. 改装前の家具の再利用・アップサイクルを検討
最後に、船場がサステナブルオフィスを実現した取り組み事例をご紹介します。
5.1. スパイスファクトリー(株)本社
スパイスファクトリー本社では、什器の再利用や環境に配慮した施工によりサステナブルオフィスを実現しました。同社では、オフィスの拡張移転に際し、移転先に居抜物件を選択。既存の設備を活かしつつ、移転前のオフィスや他オフィスで使われていた家具も積極的に活用。その結果、新規家具・什器を全体の3割以下に抑えることに成功しました。
また、改修作業では極力ゴミが生じないように配慮する「ゼロウエイスト」な施工を実施。内装工事で発生した廃棄物のリサイクル率は94.3%と極めて高い水準を記録しています。
5.2. (株)AGESTのオフィス
AGEST 飯田橋テックセンターは、エシカルマテリアルを積極的に活用したサステナブルオフィスの好例です。同社では、エンジニアが創造性を発揮できることを念頭に、ABWを実践しやすい多様なエリアを持つオフィスを検討。あわせて、改修時の壁材などに再生木材や海洋プラ再生材を用いるなど、サステナブルへの配慮も行いました。
結果、イノベーションを生み出しやすい実用的なオフィスを地球にやさしい形で構築。「日本空間デザイン賞2023」で入選を果たすなど、その機能美も高く評価されています。
船場のオフィス実績はこちら
6. サステナブルオフィスで持続可能なあり方を実現しよう
サステナブルオフィスへの取り組みは、企業が社会の一員として責任を果たすことにつながります。ブランドイメージの向上はもちろん、長期的なビジネスコストの削減といった観点からも有効です。
船場では、2021年4月にサステナブルなオフィスリニューアルを行いました。このリニューアルでは既存家具の80%を転用し、改修で生じた廃材はアート作品としてアップサイクル。利用予定のないデスクやワゴンは積み重ねてイベントスペースとするなど資源活用を進めた結果、廃棄物リサイクル率99%を達成しました。
船場では、サステナブルなオフィス改修のご相談を承っています。船場のオフィス改修は、ただ環境に優しい素材を使うことに留まりません。「どうすれば、ニーズに合わせて形を変えながら空間を活用し続けられるか」をしっかりと考え、デザイナーが解決策を導き出します。
>船場のオフィスづくりの考え方についてはこちら