ISUMI Glamping Resort &
Spa SOLAS
“自然”と”エシカル”が融合したグランピング施設

2023.09.06

“自然”と”エシカル”が融合したグランピング施設「ISUMI Glamping Resort & Spa SOLAS」船場ならではの極上の癒し空間をプロデュース

2015 年頃より新たなレジャーの形として話題を集め、全国各地で開発が進む“グランピング”。当初は「豪華なキャンプ」として注目されていたものの、現在ではこれにとどまらず様々なコンセプトのグランピング施設が誕生しています。
今回は当社が担当したグランピング施設「ISUMI Glamping Resort & Spa SOLAS」のプロジェクトストーリーを中心に、空間づくりのノウハウとエシカルデザインの知見を掛け合わせたグランピング施設づくりについてご紹介します

2015 年頃より新たなレジャーの形として話題を集め、全国各地で開発が進む“グランピング”。当初は「豪華なキャンプ」として注目されていたものの、現在ではこれにとどまらず様々なコンセプトのグランピング施設が誕生しています。
今回は当社が担当したグランピング施設「ISUMI Glamping Resort & Spa SOLAS」のプロジェクトストーリーを中心に、空間づくりのノウハウとエシカルデザインの知見を掛け合わせたグランピング施設づくりについてご紹介します


Project Member / プロジェクトメンバー

  • エシカルデザイン本部 / Senior Project Director / サスティナブルツーリズムアドバイザー 筒井 秀明

    筒井 秀明

    エシカルデザイン本部 / Senior Project Director / サスティナブルツーリズムアドバイザー

  • エシカルデザイン本部 / Re Division / Tokyo / Planner 木村 茜

    木村 茜

    エシカルデザイン本部 / Re Division / Tokyo / Planner

  • エシカルデザイン本部 / Re Division / Osaka / Planning Manager 生田  裕史

    生田 裕史

    エシカルデザイン本部 / Re Division / Osaka / Planning Manager

Project Member / プロジェクトメンバー

  • 筒井 秀明

    筒井 秀明

    エシカルデザイン本部
    Senior Project Director
    サスティナブルツーリズムアドバイザー

  • 木村 茜

    木村 茜

    エシカルデザイン本部
    Re Division Tokyo
    プランナー

  • 生田 裕史

    生田 裕史

    エシカルデザイン本部
    Re Division Osaka
    プランニングマネージャー

※所属部署、役職は2023年9月時点

中から外へ。船場の新たな取り組み

――内装をメイン事業にしていた船場ですが、今回なぜグランピング開発に乗り出したのですか?

筒井
元々ランドスケープデザインや建築設計にも関心があったのですが、大きなきっかけは、コロナでした。ネットの台頭により、家で簡単に買い物ができ、人と接触する必要がないなど、商業施設自体の役割が変わってきました。そんな中で、コロナによって密を避ける風潮が広がり、今まで飲食店や商業施設など、人が賑わう空間を作ってきた私たちも、方向性の転換が必要になりました。中から外へ、内装から外装を含む施設全体のプロデュースへと舵を切ったのです。
空間デザインを手がけてきた我々にとって、屋内外が融合するグランピング施設全体の空間を作ることは、商業施設開発に通ずる部分もあり、そこまでハードルを感じませんでした。
もちろん、内装だけではない施設全体のプロデュースは経験の少ないことで難しい部分もあります。メンバー一丸となって『GO OUT』という掛け声とともに、外に向かって新しいことをやっていこうと、今回グランピングのプロデュースを行いました。

筒井・木村・生田のインタビューシーン

生田
グランピングの設計・プロデュースという新領域に踏み出したのは、人間の本能的な『自然に触れたい』という欲求に対し、空間づくりを通して提案し実現することが、新たな仕事に繋がればと感じた部分もあります。

木村
船場が推進する、人や地域社会、自然環境へ“おもいやり”の視点を持つ「エシカルデザイン」と自然を感じるグランピングはとても相性がよく、共感してもらいやすいテーマです。エシカルとは、環境に配慮して、人や地域社会を思いやること。グランピングに限らず宿泊施設などの「外」に向いた施設との相性が良いと感じました。
今回のグランピング施設のプロデュースにも、いたるところに意匠性を持ちながらも環境に配慮した素材“エシカルマテリアル”を使用しています。使う人に配慮したデザインとエシカルな素材を使った空間で、自然の素晴らしさや偉大さを宿泊しながら感じていただけると思います。

――新領域開拓を始めてから現在に至るまで、グランピング施設プロデュースの実績としてはどんなものがありますか?

筒井
2021年にsmall planet CAMP&GRILL、2022年にはNEMUフォレストヴィラ、そして今回ご紹介するISUMI Glamping Resort & Spa SOLAS(以下「SOLAS」)があります。

生田
NEMUフォレストヴィラ(以下「NEMU」)」は「NEMU RESORT」という広大な自然に囲まれたリゾート施設内にあるヴィラ客室全8棟の施設です。2022年にこちらの設計・施工を船場で担当しました。
NEMUは国立公園という雄大な自然の中に溶け込むことをコンセプトとしております。ヴィラの建築構造は、現場工事での廃棄物の発生を抑えることができ、また移設、再利用が容易なため廃棄物削減が可能なコンテナにし、上部はテントの幕になっており、サファリテントをイメージしたデザインになっています。
実は、NEMUはSOLASのプロジェクトとほぼ同時期に進んでいました。NEMUの知識がSOLASに活き、SOLASの経験がNEMUに活かされ、経験値が積み上がっていったのです。

NEMUフォレストヴィラ

自然を感じられる施設を作る

――SOLAS について、どのような施設か教えてください

筒井
千葉県いすみ市に建築されたグランピング施設です。基本構想から建築確認申請含む建築計画、ランドスケープ設計・施工、内装外構設計・施工、ロゴデザイン、までの一連を船場が担当しました。
安全面についてもこだわって考えています。施設立地が台風の通り道や立地的に強い風が吹くこともあり、しっかりと構造計算をして安心安全な作りになっています。グランピング施設では珍しく建築確認申請(国土交通省が行う建築基準法などの法律に則った設計であることを確認するもの)をクリアしていますので、その点でも安全性が高いものであることが証明されています。また、光触媒加工で、雨が降れば汚れが落ちるなどメンテナンス性にも優れた設計です。

木村
内装には非常にこだわりました。例えば、ドームテント内部の天幕や床、家具は夜空をイメージしたブルーを基調にしています。この色合いは、お部屋から星を見ても内装が邪魔をしません。もし内装が明るく、白を基調としたものなら夜に星が見えづらくなってしまうのです。

机上だけでは解決しないのが自然を相手にする面白さ

――SOLAS のコンセプトはなんですか?

木村
『北欧と星空』がコンセプトです。里山・里海の豊かな自然に囲まれたいすみ市は都心から電車で1時間弱という好立地にありながら、星がよく見える地域として有名です。敷地中央のじゃぶじゃぶ池は、上空から見下ろすと北斗七星を表現するような配置になっています。ロビーラウンジのLEDペンダント照明は流れ星のように輝くようプログラムで制御されており、天気が悪い中でも星を感じていただけるような作りになっています。

『北欧と星空』をコンセプトとしたグランピング施設 SOLAS
『北欧と星空』をコンセプトとしたグランピング施設 SOLAS

筒井
中と外の一体化を図り「際」を感じさせないというのもコンセプトの一つです。ロビーラウンジには大きな窓を設置してあり、季節が暖かく気持ちの良い時期には、窓を解放して自然の風を取り入れています。お部屋の中にいても、外を感じられる一体感がグランピングの醍醐味だと思い、そのように設計しています。

ISUMI Glamping Resort & Spa SOLAS
SOLASのロビーラウンジ

――業務領域の中でも、それぞれ苦労した点はなんですか?

生田
とにかく、みんなで意見を出し合いました。グランピングに対する経験値が、私たちは少なかった。徹底的にリサーチして、現場に何度も足を運びました。

筒井
そうなんです。やはり、現地に行ってみないとわからないことが多くありましたね。南東が海、周りが林になっていて街の光を拾わないSOLASの土地は、本当に星が綺麗なんです。ただ、満月だと星が見えなくなってしまうというのは、現地に行って気づいたことでした。施設紹介の動画も星空が撮影したかったので、月が邪魔しない新月の日を狙って撮影しにいきました。晴れるかどうかは賭けでしたね(笑)。
季節や時間によっても、見える景色が変わっていく。現場に何度も足を運び、自ら近くのキャンプ場で宿泊をしたりして、自然をどう活かせるのか考え続けました。

木村
SOLASの土地は、もともと打ちっぱなしのゴルフ場だったんです。起伏も多く、建築できる建物も限られてしまうため、ドームテントを建てる際には現場で縄を使って面積や配置間隔をリアルに測りに行ったんです。図面だけではわからないことを一つずつ拾い上げていくため、現場にはよく通いましたね。その中で、SOLASの星の美しさをどう感じてもらえるかをデザインしていきました。

木村 茜のインタビュー時の様子

自然と一体化し、地産地消・地域活性化にもつながる

――船場独自の、他と差別化できるこだわりポイントはなんですか?

筒井
SOLASの施設内に自生している天然の桜があり、四季折々に楽しめるよう一年中ライトアップし、一年中四季折々照明設定が変化し楽しめます。SOLASは海が近く、漁港があるのでお魚が美味しく、伊勢海老が豊富に獲れるんです。さらに、地元では新鮮な野菜がたくさん収穫でき、地産地消のグルメもお楽しみいただけます。地元の雇用創出にも貢献し、施設設計だけではない地域創生の視点も含めたプロデュースを行い、過疎化が課題視されているいすみ市を盛り上げるような開発としました。
また、各ドームテントの窓を可能な限り大きくとっています。星空だけでなく、雪が積もったり、紅葉が見られたりといった自然を感じられて、お部屋の中にいても外にいるような一体感をお楽しみいただけます。
さらに、SOLASは温浴施設も充実しています。自然の中で楽しめるテントサウナや露天風呂、本格的なフィンランド式サウナを設置しています。
多様な機能を組み合わせながら、3世代でも楽しめるグランピング施設を作ることができるのは、商業施設をはじめとした多様な空間づくりの地盤がある船場ならではの魅力なのではないでしょうか。

SOLAS内のフィンランド式サウナ
SOLAS内のフィンランド式サウナ

船場の中に息づく「エシカル」への思い

――エシカルデザインについて、どのようにお考えか教えてください

筒井
まずSDG’sやエシカルなどについて空間づくりを通して考えてみると、自然を体験することで見えてくるものがあります。たとえば、今回のSOLASの施設であれば、ここは本当に星空が見事で、とても綺麗です。しかし、私たち人間の振る舞い方次第では、将来星がかすんでいく可能性もあるのです。自然の素晴らしさや偉大さを身近に感じ、それをどう大切にしていくのかを考え、できることを実行していく事が重要だと思います。エシカルデザインとはそれを実践したり、また感じ取れるデザインだと考えています。

筒井 秀明のインタビュー時の様子

――具体的にSOLASではどのようなエシカルデザインを施したのでしょうか。

木村
宿泊棟の建築構造には、発生する廃棄物の量を減らすことができるコンテナを採用しました。現場工事で発生する廃棄物が少なく、一般的な宿泊施設と比べて工期を3分の1程度に短縮できるため、環境負荷を減らすことができます。それだけでなく、移設・再利用・増改築がしやすいため、将来的なリニューアル等の際にも廃棄物の抑制が可能です。ビレッジ型にすることで、大自然を享受でき、いすみの満天の星空を、プライベートな空間でリラックスして眺めることができるようにデザインしました。

生田
私たちは日本の森林資源を再評価し、身近なものに新しい価値を与えることで、日本国内の林業の活性化、森林の持続可能な循環に貢献したいと考えています。ロビーラウンジや温浴施設の入る管理棟建築は、木材利用促進の観点から木造建築を採用し、ロビーの壁面ディスプレイには国産の白樺を、枝を残した自然のままの姿で使用しました。日本では白樺の木は、家具として十分に強度のある木であるにも関わらず、紙用のパルプ原料として非常に安価で取引されることが多いのですが、白樺そのものはとても美しいため、その白樺をそのまま使用することで、木の価値を訴求するディスプレイを創り上げました。 また、外壁材には、自然との調和や木の温かみを表現しつつ、夜の闇に溶け込み星空を邪魔しない焼杉を採用しました。極力塩ビ(塩化ビニル製)のクロスや床材を使わず、廃棄される卵の殻やウッドチップから作られるクロス、すべて天然素材で出来た床材を多く使用しています。

生田 裕史のインタビュー時の様子

自分たちが行きたいと思う「過ごす場所」を創る

――今後目指したいビジョンについてお聞かせください

筒井
グランピングは一つのきっかけにすぎず、ヴィラ型宿泊施設やビレッジタイプの宿泊施設など、立地ターゲットや目的に合わせて自由に選択可能なものを作っていきたいです。各棟個別に温浴やサウナがついていたり、BBQの出来るウッドデッキやドッグランがあったりと、サービスを多角的に展開し、お客様が満足いただけるものが作れれば良いなと考えています。

木村
『何もない土地』というのはなく、それぞれの土地には良いところがあります。私たちはそれを拾い上げ、形にし、新たな価値として提供していきたい。
将来的には、気軽にワーケーションとして1ヶ月過ごせるような、都会と地方2拠点で過ごせる第二の家のような施設を作っていきたいです。仕事をしながら、週末は子供と遊んで自然も満喫する。自由な過ごし方、新たな考え方を提供していきたいです。

筒井
木村が話したように「過ごす」をキーワードに、ただの宿泊施設ではなく、旅の拠点にして過ごしていただける施設を増やしていきたいですね。
グランピング施設のみに留まらず、新たな生活の拠点の場を各地に作っていきたいです。

User Voice / お客様の声

ISUMI Glamping Resort & Spa SOLAS

施設の入口の坂道を上ってきて、管理棟に入った瞬間にハイテンションになる方が多く、ひと目でお客様が圧倒されるデザインをしていただきました。ご宿泊のお客様からはどこも「オシャレ」「こだわっている」というお声をよくいただいております。これは、コンセプト通りにデザイン・施工してくださった船場さまのおかげだと感謝しております。また、エシカル素材を積極的に採用しました。SDGs に貢献する施設の一つとして高い評価を受けられるようにスタッフ一同日々精進して参りたいと思います。

株式会社大日商事

専務取締役 平林 幸一様

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