2024.10.28

オフィスから実現するSDGsの取り組みとは?メリットや成功事例を解説

撮影:© Nacása & Partners Inc. FUTA Moriishi

企業としてSDGsに取り組む際、何から取り組むべきか悩んでしまうケースは少なくないでしょう。そんなときはまず「オフィス」に注目することをおすすめします。

この記事では、SDGsの意味や、オフィスでSDGsが求められる理由、オフィスでSDGsに取り組むメリットや取り組み方、手順、成功事例などをご紹介します。

目次
1. SDGs(持続可能な開発目標)とは
2. オフィスでもSDGsが求められる理由
3. オフィスでSDGsに取り組むメリット
4. オフィスでSDGsへの取り組み方
5. SDGsに取り組む時の手順
6. オフィスから実現するSDGsの成功事例
7. オフィスでのSDGs推進に活用できる助成金・補助金
8. オフィスでSDGsを達成するためのポイント
9. SDGsの意義を理解して実現に向けて取り組もう

1. SDGs(持続可能な開発目標)とは

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年の国連サミットにおいて、持続可能な世界を目指すために採択された国際目標です。2030年を達成期限とし、17のゴールと169のターゲット(ゴールの達成基準)が定められています。

【SDGsの17のゴール】
1: 貧困をなくそう
2: 飢餓をゼロに
3: すべての人に健康と福祉を
4: 質の高い教育をみんなに
5: ジェンダー平等を実現しよう
6: 安全な水とトイレを世界中に
7: エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8: 働きがいも経済成長も
9: 産業と技術革新の基盤をつくろう
10: 人や国の不平等をなくそう
11: 住み続けられるまちづくりを
12: つくる責任つかう責任
13: 気候変動に具体的な対策を
14: 海の豊かさを守ろう
15: 陸の豊かさも守ろう
16: 平和と公正をすべての人に
17: パートナーシップで目標を達成しよう
(出典:外務省「JAPAN SDGs Action Platform」より引用)

SDGsは「サステナビリティ・サステナブル」や「ウェルビーイング」といった言葉と共に語られることがありますが、それぞれ意味は異なります。

【SDGsの関連用語の意味】

用語概要
サステナビリティ・サステナブル「持続可能な○○」「持続可能性」。社会活動を長期的に持続させていくための取り組み
ウェルビーイング身体的に健康なだけではなく、精神的にも社会的にも満たされている状態のこと

2. オフィスでもSDGsが求められる理由

SDGsでは、個人だけでなく企業に対しても当事者意識を持った取り組みを求めています。SDGsのゴールは経済・環境・社会の3つの側面から構成されており、これらはいずれも企業活動と切っても切り離せない要素です。

つまり、自社の顔ともいうべきオフィスにおいてSDGsを進めることは、社内外に向けて自社のSDGsへの取り組み姿勢を打ち出す有効な手法となります。

3. オフィスでSDGsに取り組むメリット

では、オフィスでSDGsを進めるメリットを具体的に確認していきます。

3.1. 環境負荷を軽減できる
オフィスは社員が長い時間を過ごす企業活動の中心の場であり、各種エネルギーや資源が大量に消費される場所です。その場所でSDGsの取り組みを進めれば、自社が環境に与える負荷を軽減できます。

3.2. ブランディングに活かせ
オフィスでのSDGsへの取り組みを外部に公表すれば、人や地球に優しい企業として自社のブランドイメージを向上できます。ステークホルダーからの信頼の獲得により熱心なリピーターを確保したり、金融機関からの資金調達が容易になったりと、多様な恩恵を得られます。

3.3. 社員のモチベーションアップにつながる
オフィスでSDGsへの取り組みを進めるには、働いている社員の協力が欠かせません。SDGsの取り組みを進めていく中で、社員自身が「社会課題の解決に向けて取り組みをしている」という実感・やりがいを感じることで、モチベーションアップや企業への帰属意識の向上につながります。

3.4. 人材の確保につながる
オフィスをSDGsの観点から改善していくことは、優れた人材の確保に向けても有効です。近年は、人材の多様化や個性を尊重する風潮が広がり「自分らしく働ける企業を選びたい」と考える人も増えています。SDGsを意識したオフィスの導入は、そのような人の心に響く自社の特色となります。

4. オフィスでSDGsへの取り組み方

撮影:青木克洋

続いて、オフィスでSDGsを進めるために取り入れるべき取り組みを以下4つにまとめました。

4.1. 環境に配慮した取り組み
ペーパーレス化や省エネ・エコをうたう製品の導入は、オフィスの環境面への配慮として有効です。また、オフィスづくりの観点からは、改修作業中に可能な限りゴミを発生させない「ゼロウエイスト」な施工も重要となります。完成後のオフィスがSDGsを目指せていても、施工過程で環境に負荷を与えてしまっていては十分な取り組みとはいえません。

4.2. 働き方・働く環境への取り組み
テレワークやワーケーションの導入、長時間残業の削減など、労働環境の改善も、オフィスにおけるSDGsの取り組みの一つです。オフィス改修を行う場合は「ABW(固定席ではなく作業内容に応じて働くスペースを選べる仕組み)」の導入を検討しましょう。それにあわせて交流が生まれやすいエリア(開かれた休憩スペース、立ち話が生まれやすいスタンディングでの作業場所など)を配置すると、悩み事をお互いに相談しやすく誰もが働きやすいオフィスを実現しやすくなります。

4.3. 持続可能な消費と生産への取り組み
SDGsは、ゴール12「つくる責任つかう責任」において、持続可能な消費と生産のパターンの確保を掲げています。オフィス改修においても、家具や什器を既存のオフィスから流用したり、環境に配慮された素材の品物を積極的に活用したりすることで、このゴールに貢献できます。

5. SDGsに取り組む時の手順

オフィスのSDGsを進める際には、一般的に以下の手順を辿ります。

手順1:SDGsについての理解を深める
手順2:自社の業務プロセスやオフィス環境の課題を洗い出す
手順3:17のゴールから自社が取り組むべき目標を選択する
手順4:達成に必要な具体的なアクションを検討する
手順5:取り組みの実践と評価を繰り返す

ポイントとなるのは、17のゴールすべての達成を目指さなくてもいいことです。自社の業種や課題に応じて貢献すべき目標を選択することが大切です。

6. オフィスから実現するSDGsの成功事例

6.1. 電通デジタル

電通デジタル本社では、ゼロウエイストに注力し、オフィスリニューアル工事における廃棄物リサイクル率99%を達成しました。この取り組みは、旧オフィスの撤去から新オフィスの各種施工までに生じた廃棄物(廃プラスチックや石膏ボードなど)をマテリアルやサーマルとしてリサイクルしたものです。環境負荷を抑えつつ、地球に優しい企業としてのブランディングにも成功しています。

6.2. CARTA HOLDINGS

撮影:©Nacása & Partners Inc.

CARTA HOLDINGSでは、社内の活発なコミュニケーションが期待できる、誰もが働きやすいオフィスの構築に成功しています。同社では、グループ再編に伴い2つの拠点を一つの新オフィスに統合。文化の融合を円滑に進めるべく、新オフィスには用途別のワークスペースを用意し、ABWを導入しました。あわせて、コミュニケーションラウンジやカフェといった交流の場も設けました。環境面への配慮として、旧オフィスで使用していた家具を分解し、新オフィスの素材として再利用しているのも大きな特徴です。

6.3. TOKYOシェアオフィス墨田

撮影:Naoki MIYASHITA

多様な働き方の受け入れに向けてサテライトオフィスを用意することもSDGsの取り組みの一つです。TOKYOシェアオフィス墨田では、築45年以上の物件を環境に優しい形でリノベーションし、サテライトオフィスに仕上げました。既存の設備を積極的に活かしつつ、どうしても発生が避けられない端材は余すことなく家具や仕上げ材にアップサイクル。廃棄物リサイクル率95.6%を記録しています。このような環境に配慮されたサテライトオフィスを設けることは、社員がSDGsと真剣に向き合うきっかけにもなるでしょう。

船場のオフィス実績はこちらからご覧ください。

7. オフィスでのSDGs推進に活用できる助成金・補助金

オフィスのSDGsを進める際には、助成金や補助金が活用できる場合があります。

7.1. 人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、主に労働環境の向上を図る事業主が受け取れる助成金です。2024年10月1日現在、以下の8コースが用意されています。

(a)雇用管理制度助成コース
(b)中小企業団体助成コース
(c)人事評価改善等助成コース
(d)建設キャリアアップシステム等普及促進コース
(e) 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野)
(f)作業員宿舎等設置助成コース(建設分野)
(g)外国人労働者就労環境整備助成コース
(h) テレワークコース
(i) 派遣元特例コース
(出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金」より引用)

オフィス改修では、デジタル機器の導入に際して補助対象となり得るケースがあります。最新の情報は公式ページよりご確認ください。

7.2. IT導入補助金
IT導入補助金は経済産業省中小企業庁が推進する補助金で、経営課題の解決のためにITツールを導入する際に受けられる支援です。例年募集されており、2024年は以下の5枠を選び申請できます。

●通常枠
●インボイス枠(インボイス対応類型)
●インボイス枠(電子取引類型)
●セキュリティ対策推進枠
●複数社連携IT導入枠
(出典:IT導入補助金2024「トップページ」より引用)

オフィスの改修に際しては、ABWの前段階として必要な「業務のデジタル化・ペーパーレス化」のタイミングで有効活用できる可能性があります。

8. オフィスでSDGsを達成するためのポイント

Semba Good Ethical Office ーOsaka‐
撮影:© Nacása & Partners Inc.

オフィスからSDGsを達成するためには、以下のポイントが大切です。

●17のゴールのうち、自社の業務内容やビジョンに適したものを選択する
●ゴールの達成に結びつくオフィス改修を行う(多様なワークスペースの設置とABWの導入、環境に配慮されたサテライトオフィスの準備など)
●オフィス改修の施工で生じる環境負荷にも気を配る
●社員の声を聞き、進捗も公開しながら全社的に取り組みを進める

これらのポイントを押さえれば、自社のブランディングにも効果を発揮する未来志向のオフィスをつくることができます。

9. SDGsの意義を理解して実現に向けて取り組もう

SDGsは環境・社会・経済に関する国際目標であり、企業を含むすべての人々が取り組むべき課題です。

船場では、ゼロウエイストな施工や廃棄物のリサイクルまで考慮した、持続可能なオフィス改修を提供しています。「どうすれば社員が働きやすい新オフィスになるか」「SDGsなオフィスとはどのような姿か」など、まずは以下より現状の疑問や課題をぜひお聞かせください。

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