Project Member / プロジェクトメンバー
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新保 純一
統括マネージャー
第1事業本部 東京設計部 設計1課 -
藤野 信行
営業
第1事業本部 東京営業企画部 営業企画1課 -
成富 法仁
設計
第1事業本部 東京設計部 設計1課 -
林 宏樹
制作監理
第1事業本部 東京制作部 制作1課
鉄道ファンに絶大な人気を誇り
実際の車両や鉄道に関係するモノコトを体験できる「鉄道博物館」
新館オープン及び本館リニューアルにあたり
館内のミュージアムショップTRAINIART(トレニアート)は
「第2の展示室」と位置づけられ
鉄道を想起させるデザインや機能にこだわった空間設計となりました。
“てっぱく”の「第2の展示室」として
ワクワクを発信する使命。
― 新しくなる「てっぱく(鉄道博物館の愛称)」のショップとして何が求められましたか?
新保:ジェイアール東日本商事様とはブランド立ち上げの時からイメージを共有させて頂き、CIの作成からPB商品の開発にいたるまで一心同体でお手伝いをさせて頂きました。
1号店以降もご一緒させて頂いている経緯で、今回過去最大面積(約120坪)となるミュージアムショップの設計・施工を任せて頂けることとなりました。
藤野:今回のプロジェクトはミュージアムショップの特性上、「閉鎖商圏」での出店であり、当ショップは鉄道博物館へ来館される「鉄道を愛するお客様」がメインターゲットとなります。そのようなお客様に満足していただき、期待に応えることのできる店づくりを目指す必要がありました。
成富:「てっぱく」のリニューアルに伴って、ミュージアムショップも刷新が求められました。区画もエントランス側へと移動し、面積も大きくなる計画だったので、施設側からはショップの集客を期待されていると感じました。
コンセプトが「第2の展示室」と決まったので、「てっぱく」を訪れるお客様が鉄道体験の延長で楽しめる空間を目指しました。
藤野:また、トレニアート店舗としても、投資予算、面積、商品アイテム数等、最大規模のプロジェクトでしたので、かなりのプレッシャーを感じてのスタートとなりました。
成富:そうですね。1日に5,000人を超す来館者数の日もある施設ですから、来館者にもお店の方にもストレスのない店舗づくりが求められました。
― クライアントからの要望をどう具現化したのでしょうか?
藤野:1年以上にわたり、設計調整を進めていったのですが、クライアントのこだわりは何か、また、何を省くことができるのかの検討を重ね、建設的な提案が行えるよう注力しました。
成富:計画にあたり制約となったのは、共用通路を挟んで大小2区画に分かれた立地でした。
このままでは、エリアの広さとロケーションの良さが活かせないと考え、「2区画に分かれた店舗をつなぐ、大きなファサード」をつくり、TRAINIARTの顔を最大化することをご提案しました。
結果的には、共用部の意匠も統一させてもらう事ができましたが、関係者が多い案件でしたので、根気強く協議・調整して設計する必要がありました。ここが初動においての最大のポイントになったと思います。
― インパクトのあるビジュアルと2つのゾーンを一体化させる演出ですね。
成富:はい、その他には、プラン作成前に実際に施設を訪れてピーク時の来場者の多さを体感していましたので、混雑解消となる導線づくりにも注力しました。
お客様が買い回りする動線や、レジに並ぶ事を想定して空間を組み立てました。ショップ側への利便性も考慮し、ストックする商品在庫適量の検証やバックヤードの導線、レジ位置の検証まで考え抜いたレイアウトで、働く方々皆さんがストレスレスに過ごせる空間が完成したと感じています。
新保:今までオープンしてきたTRANIARTは、駅ナカまたは駅ビルへの出店ですが、今回はミュージアムショップである為、エンターテインメント性が求められました。
鉄道を想起させる鉄道古物(実際に使われていた車両部品や施設設備品など)をデザインに取り入れたり、鉄道関連の動画や博物館所蔵の模型展示などミュージアムと連動性のあるVMDで表現しました。
― 来場者が驚きや発見を感じられる「しかけ」があるとお聞きしましたが?
藤野:デザイナーが最後の最後までアイディアを膨らませていたのは、アイキャッチとなるシャンデリアやショーケースの演出でしたね。
成富:「TRAINIART」とは「TRAIN」と「ART」を繋げた造語です。(※当ショップのCIは、船場で以前にご提案)鉄道を想起しつつ、アートやデザインという手法で親しみやすい、楽しめるお店を目指すことが、トレニアートのショップコンセプトです。
パッと見は整えられた意匠ですが、見る人が見れば「これはもしかして……アレかも」と感じてもらえる「しかけ」を作っています。
例えば、つり革を使ったシャンデリアや、機関車のスチームパイプをイメージしたアートウォール、駅舎の構造を連続させたファサード、貨物列車の鋼板を利用した什器など、挙げだしたらきりがありません(笑)。
それは、ショップコンセプトを空間に落とし込んでいくストーリーをつくること、そしてお客様がワクワクを感じることで購買につながることだと思っています。
今回のショップは特に、「てっぱく」の内側という立地特性を意識しながら、いかにお客様の体験価値を最大化できるかを思考しました。
多岐にわたる「魅せ場」の工程をマネジメント。
― プロジェクトの工程で特に注意したことはありますか?
林:本プロジェクトでは、随所に鉄道を想起させる「魅せ場」が散りばめられています。例えば本物のつり革を使用したシャンデリア等、取り扱う素材やマテリアルが一般的な店舗では使わない本物の鉄道関連が多く、荷重対策も必要となりました。設置方法も展示ごとに安全性を考慮し検証を重ねたため、我々社内チーム内の企画進捗共有はもちろんのこと、限られた期間内で各パートナー会社との業務調整がスムーズに進むように細心の注意を払いました。
また、鉄道博物館全体のリニューアル工事との調整も必要だったので、定例会議を通じ情報を共有することで、現場でのエラーを極力減らすように心掛けました。
藤野:そうですね。設計・施工業務のスケジュールが二期に分かれてしまう案件でしたので、設計担当・制作担当とコミュニケーションを図り推進していきました。特に人材、時間、予算等のリソースの割り振りをいかに計画するかという点を重要事項と意識していましたね。
― 完成して引き渡しをされた時どのような思いがありましたか?
林:無事に納期を守れたという安心感が大きかったです。納期を守るということは、お客様に安心を与えることそのもので、これは制作担当としての最低限のミッションだと考えています。特に本プロジェクトは、納品において苦労した部分も多く、各方面の協力者様の存在無しには成し得なかったと思います。
―「てっぱく」のリニューアルが完成し、TRAINIARTもグランドオープンしました。その時、感じたことは?
藤野:プロジェクトのスタートから重ねてきた努力が実を結んだと実感しましたね。工事完了後、商品が陳列されたことで、ショップに命が吹き込まれ、より魅力的に輝きを放っていたように思いました。
来店されるお客様の反応も良く、商品を選ぶお客様に笑顔が溢れていたことがとても印象的でした。そして何より、売上についても好調に推移しているということをお伺いし、我々の達成感もひとしおです。
成富:クライアントや施設の方からご好評をいただいたことが、何よりうれしいです。ただ、まだ私自身がお客の立場としてリアル体験していないので、近々家族で訪れて実地検証したいです(笑)。今回の案件に限らず、実際に利用するとやはりマクロ・ミクロの両視点で発見があると思いますので、それを確かめたいですね。
林:トレニアート様のブランドコンセプトにもなっている「鉄道をもっと楽しむ」というキーワードを体現したようなお店になったと思います。鉄道博物館という施設において、新しい価値観を表現できたのではないかと感じました。多くの人が携わる、このようなお店づくりに関わることができたことを誇りに思います。
新保:冒頭にも申し上げました通り、1号店開業時からご提案させていただいているブランドなので、個人的な思い入れも強いですが、今後も様々な施設に展開して頂き、より多くのお客様に「鉄道をもっと楽しむ」を感じて頂けたら、と願っております。
立ち上げから二人三脚で、鉄道の世界観を具現化。
当社は、2010年より鉄道デザインショップ「TRAINIART(トレニアート)」を立ち上げ、首都圏の駅ビルやエキナカ等で店舗展開をしております。
「鉄道をもっと楽しむ」というコンセプトのもと、「鉄道」を切り口とした幅広い商品展開を図っており、鉄道博物館様よりその点をご評価いただいた上の出店となりました。
「TRAINIART(トレニアート)」の立ち上げから、船場様には店舗内装プランに限らず、ブランドコンセプトの策定等ハード、ソフトともに、ご協力いただいております。今回は鉄道博物館ミュージアムショップという売場面積、展開商品数、集客力ともに大規模なプロジェクトとなり、新たなチャレンジの部分も多く、共にアイディアを出したり、ご提案いただいたりしながら「鉄道をもっと楽しむ」空間づくりの実現を進められたと思います。
今後は私たちの生活に根付く「鉄道」の楽しさ、歴史、文化、未来へつながる技術、とミュージアムショップにいながら
広がる世界を感じていただける店舗づくりを目指してまいります。
高橋 晶子 様
(株)ジェイアール東日本商事 営業本部 営業部 商品グループ
お客様もスタッフも「この空間にいるだけで楽しい」気持ちに。
「鉄道」を想起させる遊び心あるアイディアが陳列棚・照明など随所に施されており、ただ商品を買って帰るだけのお店ではなく、「この空間にいるだけで楽しい」というワクワクした気持ちにさせてくれます。
実際に売場で働く私を含むスタッフにとっては、つい誰かに紹介したくなるような自慢のお店で、当店が掲げるショップコンセプトの「第2の展示室」を具現化してくれたように思います。
入店後すぐに目に留まるのは、天井から吊り下げられたつり革シャンデリアで、非常にインパクトが強くアイキャッチになるため、みなさまが決まって記念写真を撮っていく撮影スポットになっています。
鉄道模型の展示スペースでは綺麗に陳列された車両の壮観さにお子さまたちが目をキラキラさせており、ショップリニューアル前から来館されているお客さまからは「オシャレなお店になったね」とお声をいただくこともあります。
年間パスポートを持つリピーターが多いことも博物館の特徴で、来館の度に新たな発見をしていただくためには素敵な売場に負けないように商品力にも磨きをかけ、売場造りをしていかねばならないという使命感があり、とても刺激となっています。
一蝶 政博 様
ミュージアムショップTRAINIART 鉄道博物館店長
■所在地 | 埼玉県さいたま市大宮区大成町3-47 鉄道博物館内1階 |
■業種 | 鉄道デザイングッズ専門物販店 |
■オープン | 2018年7月 |