2023.12.25

サーキュラーエコノミーとは?リサイクルとの違いやオランダでの取り組みについて/Circular Initiatives & Partners代表 安居昭博氏

2023年11月16日から3日間開催された、「ETHICAL  DESIGN WEEK TOKYO 2023」。カンファレンスの幕開けには、日本におけるサーキュラーエコノミーのトップランナーである、安居昭博さんにご登壇いただき、「オランダに探るサーキュラーエコノミーの可能性」をお話しいただきました。世界がサーキュラーエコノミーに舵を切る中、私たちは何を変えていく必要があるのか?そもそもサーキュラーエコノミーをどう捉えればいいのか?今回のCONNECTではサーキュラーエコノミーに関するお話の一部をお届けします。

2023年11月16日から3日間開催された、「ETHICAL  DESIGN WEEK TOKYO 2023」。カンファレンスの幕開けには、日本におけるサーキュラーエコノミーのトップランナーである、安居昭博さんにご登壇いただき、「オランダに探るサーキュラーエコノミーの可能性」をお話しいただきました。世界がサーキュラーエコノミーに舵を切る中、私たちは何を変えていく必要があるのか?そもそもサーキュラーエコノミーをどう捉えればいいのか?今回のCONNECTではサーキュラーエコノミーに関するお話の一部をお届けします。


Circular Initiatives & Partners代表 安居昭博氏

1988年生まれ。京都・北区在住。Circular Initiatives & Partners代表。世界経済フォーラムGlobal Future Council on Japanメンバー。ドイツ・キール大学「Sustainability, Society and the Environment」修士課程卒業。2021年「青年版国民栄誉賞(TOYP2021)」にて「内閣総理大臣奨励賞(グランプリ)」受賞。企業や自治体のほか、「京都音楽博覧会」や「森、道、市場」等の音楽イベントでもサーキュラーエコノミーのアドバイザーを務め、資源循環の仕組みづくりを進める。「黒川温泉一帯地域コンポストプロジェクト」が「サステナアワード2020」にて「環境省環境経済課長賞」を受賞。2022年、梅酒の梅の実、生八ッ橋、酒かす、おから、レモンの皮など、京都の副産物・規格外品を活用し、福祉作業所と製造連携し「京シュトレン」を開発するお菓子屋「八方良菓」を創業。京都市委嘱 成長戦略推進アドバイザー。著書に「サーキュラーエコノミー実践 ーオランダに探るビジネスモデル(学芸出版社)」

サーキュラーエコノミーとは?関心高まる新たなビジネスモデル

サーキュラーエコノミーについて、何かこれまでに本を読んだ、もしくはイベントに参加されたことがある方って、どれぐらいいらっしゃいますでしょうか?
もしかしたら初めての方もいらっしゃるかもしれないのですが、ざっくりとお話しします。

サーキュラーエコノミーとは、今まで一般的であった大量生産大量消費型の経済モデルから、廃棄を出さない仕組みに整えることで、経済にも、そして環境にもメリットを見出すことができることから注目をされている、新しい経済モデルです。ヨーロッパでは欧州委員会EUが主導して官民連携で進められていて、近年では日本でもサーキュラーエコノミーへの関心度合いが高まっていることがわかります。

現在に至るまで進められてきたリニアエコノミー(大量生産大量消費型モデル)ですが、こちらは地球上の資源を取って、何かを作って、使って捨てる、という一方通行型だったので、一方通行型モデルなどと呼ばれています。対してサーキュラーエコノミーは、大量生産大量廃棄モデルでの最終地点である「捨てる」という段階がない循環型モデルです。企業がビジネスモデルを形作っていく、もしくは行政が政策を整えていくといった時に、初めの段階から廃棄が出ない仕組みづくり、そして設計やデザインが導入されるところに最大の特徴があります。

廃棄が出ないビジネスモデルに本当にできるのかと思われる方いらっしゃると思うんですけれども、オランダでも最も注目されている企業の取り組みの一つに、マッドジーンズというジーンズの会社の取り組みがあります。

>マッドジーンズ(https://mudjeans.eu/


このジーンズは月額制で借りるものでして。月額制でジーンズを借りている限りは捨てることに全くメリットがないので、履きつぶした後には必ず企業に返却することになります。履かれなくなったジーンズをマッドジーンズが回収して、それをまた繊維に戻して、そこからまた新しいものを作って、私たち利用者に供給するという、まさに廃棄が出ないビジネスモデルになっています。

サーキュラーエコノミーとリサイクル・アップサイクルの違い

私が最も頻繁にいただく質問の一つに、サーキュラーエコノミーとリサイクル・アップサイクルって何が違うんですか?というのがあります。そもそもリサイクル・アップサイクルは、大量生産大量消費を元にした取り組みになっているんですね。

例えば海に流れ出ているマイクロプラスチックをアップサイクルしようとした際に、そこにあるペットボトルやマイクロプラスチックは、ビジネスモデルの考案時、そして製品の設備やデザインが導入される時には、廃棄処分が前提のリニアエコノミー型になってしまっているじゃないですか。

大量消費型でビジネスモデルが整えられて、設計やデザインされているものに対して、後から延命措置を図るかのように対処療法的に行われてきたのが、このリサイクル・アップサイクルでした。

一方でサーキュラーエコノミーはどういった観点か。医療で言うと対処療法的であったリサイクル・アップサイクルに対して、予防の観点が非常に重要だなと思っております。例えば先ほどの例に挙げたマッドジーンズですと、どのようにしたら利用者に渡ったジーンズを絶対に捨てさせないで企業に返却してもらえるかを考えて、販売ではなくリース、返却時のキャッシュバック制度、サブスクリプションなどのビジネスモデルを導入することによって、利用者に渡った自分たちの資源を戻してもらう仕組みが作られています。

また利用者の手に渡ったジーンズが捨てられずに企業に返却されることが前提になった時、通常のジーンズであれば背中側に革のラベルが取り付けられていることが多いと思いますが、革のラベルはない方が再び繊維に戻しやすいので、そもそも革のラベルは採用しない。またファスナーよりもボタン式の方が何度も繰り返し使い続けることができるので、ファスナーではなくボタンを採用しようとなります。

まず第一に、サーキュラーエコノミーではビジネスモデルの変革がなされて、販売からリースやサブスクリプション、月額制が導入される。次に製品の設計やデザインを見直すといった傾向があります。これらのところが、これまでのリサイクル・アップサイクルと、サーキュラーエコノミーの最も大きな違いと考えられています。

革ラベルの付いたジーンズ(イメージ)

オランダのサーキュラーエコノミーから学ぶサーキュラーデザインとは

同じくオランダで注目されているフェアフォンというスマートフォンがあります。これは特殊な工具とか技術スキルがなくても、自分たちで分解することができる設計になっております。

中を開けることができるようになっていて、例えばカメラだけを交換したい時には、このカメラのマークで示されている青いネジを三つ外すとカメラだけが交換できて、利用者自身がパーツを交換したり、アップグレードできる設計になっています。
またこのモデルは、使用しなくなったパーツがあった時、企業に返却するとキャッシュバックが得られるため、先ほどのマッドジーンズ同様に返却の仕組みが実装されています。

>フェアフォン(https://www.fairphone.com/en/

このフェアフォンは設計やデザインの段階でも一切接着剤が使われていませんし、ネジが全て単一化されているので、利用者から返却されたものを簡単に分解して再資源化、そして再利用ができるようになっております。このような設計やデザインのことを、サーキュラーデザインと言います。

近年日本でもサーキュラーエコノミー型のビジネスを展開している企業が増えてきていますが、これまで通り大量生産大量消費型で設計デザインされたものを、単に販売型からリースサブスクリプション化すれば、サーキュラーエコノミーとして十分かと言うと、決してそうではないんですね。
サーキュラーエコノミー型ビジネスには、サーキュラーデザインが欠かせないといわれています。サーキュラーデザインには様々な要素があり、例えばネジの規格を統一することや同じ面に集約すること、そして複合材よりも単一性素材が重視されていることなどが挙げられます。

建築業界におけるサーキュラーデザイン

では、建材業界での例です。金属建材で少しだけ鉛を混ぜ込むと黒光りしてきれいな意匠が凝らされるので、アルミニウム97%に鉛3%を混合するということが従来あったそうですが、サーキュラーエコノミーの観点では、鉛が少しでも入ると建材としての役目を終えた後、例えば食品が触れるようなものには使えなくなってしまいます。複合材であればあるほど、価値が落ちてしまう。また、少しだけでも複合材が混じっていると、再資源化した時に耐震強度などが変わってしまうこともあります。電化製品だけでなく、ファッション、建築でも複合材よりも単一性素材が重視されています。

例として、オランダのABN AMROというメガバンクが建てた施設「CIRCL」です。サーキュラーエコノミー型の建築としてコンクリートに代わって木造建築が注目されてきています。

この建物は構造の部分に一切接着剤が使われていなくて、木材が金具で止められているので、例えば100年後にこの建物が不要になった時に、金具やビスを取り外せば建材をまた回収して別の場所に移築することができる。廃棄が出ない建築が木造建築を軸に進められている流れが見られております。

こういったヨーロッパのサーキュラーエコノミー、知れば知るほど日本ならではの可能性が見えてくるところも面白い特徴です。そもそも金具やビスすら使わずに組むといった日本の伝統工法がこの分解や修理ができやすいサーキュラー建築の中では、再注目・再評価され始めています。

もう一つ、建材やファッション業界などでも進められているマテリアルパスポートの例を紹介します。この会場で天井に使われているこの金属、なかなか目視で、何の金属が何%の配合で混ぜられているかわかる方って少ないと思うんですね。ですがもし、QRコードが刻まれていて、そのマテリアルの詳細や、修復歴などが情報として蓄積されていたとしたら、きちんと次の世代に継ぐことができます。素材の価値を落とさずにサーキュラーエコノミーを促進する流れが、このマテリアルパスポートなどで進められています。

サーキュラーエコノミーのメリットとデメリット

サーキュラーエコノミーのメリットは、短期的な、そして経済合理性に偏りすぎていた社会の経済モデルをバランスの取れた形にアップデートできることです。また、主に調達のリスク管理、長期的な安定的経済効果が見込まれる点があります。一方で考慮すべき点としては、従来のような短期的な利益を見込むのはなかなか難しいとされています。また、販売して終わりではなく、どのように回収をして再資源化するかという点で工夫が非常に必要になるので、その段階で工数がかかりコストアップが生じる場合もあります。サーキュラーエコノミーは短期ではなく長期的なビジョンで見ることが大切だと言われています。

ここまで様々な事例をご紹介させていただきましたが、なんでもやみくもに取り組めばいいというわけではなく、効果的なものから優先順位をつけて始めていくことが非常に重要です。


今回は安居さんのお話から一部をご紹介させていただきました。

もっと詳しくご覧になりたい方はアーカイブ配信からご覧いただけます。

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