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TABLOID#05 ビヨンドジェンダーマーケット
この2年で、買い物だけでなくあらゆる生活スタイルが大きく変化した。窮屈に感じることも多いが、加速した変化の中には快い前向きな変化もある。ジェンダーの壁をなくす動きが盛んになり、「既存の枠に囚われない考え方」が広まっている。これまでの常識や固定概念を“超えて”=“Beyond”して考え、この変化をポジティブに捉えていきたい。
今回は“Beyond”を大きなキーワードとし、これからスタンダードとなっていく新しい価値観を探り、これからの生活者にフィットする売り場の空間アイデアまでを考えてみた。
女性解放~過渡期
1850年–2015年頃
2010年頃までは女性の参政権や雇用など男女差別を無くす働きで「女性解放」の動きが長く続いていた。あらゆる分野で性別による単純な属性で区分けをしていた。

男女の間には壁がある


ジェンダーレス化
2016年–2021年
#MeToo運動、LGBTQムーブメントをはじめ世界的に様々な動きが起こる。
東京五輪のテーマ「多様性と調和」やジェンダーレスをテーマにした様々な新ブランドが登場するなど「ジェンダーレス」「ジェンダーフリー」としてその境界はあいまいに。


「ジェンダーレス」として中間の領域ができたがそれぞれの間にはまだ壁がある


インサイト調査
現状のジェンダーレスファッション
「性別」「年齢」問わず「誰もが着れる服」であり、ユニセックスの考え方と近い。

現状のアパレルショップ
性別により売り場が分かれている=心理的な壁が生まれ、「誰もがストレスなく手に取れる」構成ではない。

インサイト調査
急成長するメンズコスメマーケットに対し、レディースコスメマーケットは概ね成熟しているがそれぞれのインサイトを見ると、男性・女性にかかわらず美容への興味度は広く分散している。




メンズコスメ
興味度と年齢は
無関係だった



レディースコスメ
求める度合いは
興味度によって
幅がある
“Beyond”
2022年–
社会的にも生活者のムーブメントとしてもこれまでの常識や固定概念を“超えて”=“Beyond”した価値観がさらに広がっていく。
境界・境い目を取り払いそれを越えることを『ビヨンド』と定義。

壁がなくなり境界を超える!
さらにあらゆる場面で派生し、スタンダードな価値観となっていく。




これからのニーズ
- 「性差」「年齢差」ではなく「個人差」による興味度によって求める専門濃度が異なる
- 「着たい服」を誰もがストレスなく手に取れる売り場構成を求めている
『ビヨンドジェンダーマーケット』
構想に基づき、
空間へ落とし込んだ
アイデアを紹介!!
シームレスなワンフロアの中に性別・ブランドを混合して陳列し、
テイストで区切ったショールーミング型
全てMサイズを陳列。デジタル技術によって在庫などをスマートに管理。ラックに設置されたタブレットから試着の予約、取り寄せ、レンタルなどを選択。

試着時の手軽度・集中度によって選べる機能別のフィッティングルーム


OPEN FITTING
VRミラーで手軽に気楽に


SEMICLOSE FITTING
複数人で使ったり、外に出て見せあったり


CLOSE FITTING
一人で選びたい人や、試着数の多い人向け

POPUP
シーンを想起させる居場所機能と洋服・コスメ・雑貨などMDが連動したコーディネート提案型POP UP

APPAREL CONVEYOR
在庫はスマートタグで地下倉庫に管理され試着予約するとコンベアに乗って指定したFR内へ届く仕組み
性別・ブランドの垣根なく、個人の興味度・専門度によって
売り場を構成するショールーミング型
LIGHT→MIDDLE→EXPERTと興味度・専門度別の売り場をグラデーション状に構成。自分よりすこし上級者を見たいという欲求を満たし、来客者自体がPRとなる階段状のワンフロア。


CAFE + 居場所
LIGHT COSMEにはカフェと居場所を併設して入りやすく

COUNSELING
SOFA
ブランドを横断したスペシャリストと横並びのソファで気楽にカウンセリング

ウェビナー「TABLOID#05 Air」では、さらに掘り下げた調査・考察、商業の空間創造提案までを詳しくお伝え致しました。個別のセミナーや「ビヨンドジェンダーマーケット」構想に基づいたコンサル業務についてはお問合せください。
- 編集・企画
- レゾナンス・ラボ
- デザイン
- Shiori Hasegawa
- イラスト
- 松島 由林
- 表紙撮影
- Ryo Kaikura (D-CODE)
- 表紙モデル
- 佐藤 慈(株式会社 船場)
- 撮影協力
- CHOOSEBASE SHIBUYA